ルシサンワンライお題「お揃い」より「はい、召し上がれ」
言葉と同時に、ルシフェルがテーブルに置いたトレーからサンダルフォンの前に金縁の、チューリップの花を模したような曲線的で優雅なカップが置かれた。
「有難うございます。……いただきます」
ふわりと空気に溶ける湯気を立ち上らせたその中身を口にすると、芳醇に広がるその豊かな風味に、サンダルフォンは感嘆の息を漏らす。
「美味しい……。やっぱりルシフェル様の淹れて下さる珈琲は格別ですね。遠征の間、俺も何度も自分で淹れてみたんですが…やっぱり全然違う」
「サンダルフォンが珈琲を?」
「はい、以前教えていただいたのを思い出して、ここにある道具で言われた通りにやってみたつもりだったのですが……なんというか、もっとバランスが悪くて……何度か淹れなおしてみましたが、それでも駄目で、それで──」
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