K富が絡むと僕に戻る也ってかわいいよね先生酷いです、と電話口でもわかる鼻声に一人は「どうした、風邪か」と医療従事者として真っ当な診察をした。
ーーはずだったのだが。
「どうしたじゃないです!!!!!!」
思わず受話器を離してしまうほどの大声で電話の主、黒須一也はどうして、なんで、と一人を責める。
「落ち着け、一也。……何の事か説明してくれないか」
「なんで富永先生と結婚したって僕に教えてくれなかったんですか!!!!!しかも子供までいるって!!!!!」
一也は酷いです!!!!ともう一度一人を責め、うわあん!と泣き出した。
ルート1
富永が戻ってきたことが嬉しすぎて連絡するのを忘れていた。
富も富で人先生がしてると思って連絡してなかった。診療所メンバーで知らなかったのは也宮のみで、なんだったらアメリカに居る譲も知ってる。ギリギリテツは知らないかな……。
也は紹介された後にK富+双子に焼肉奢ります!それで許します!する。(なんで也が奢るって言い出したというとお世話になったK富に初任給でご飯行くとかしたかったんだけど予定が合わなかったし、ご飯は行ってもだいたい奢られるので)
也「いっぱい食べてね!」
子ズ「はーい!」
K富「(いたたまれない)」
也「先生達も!あ、ビール飲みます?」
K富「貰おう(かな)……(呑まなきゃやってられない)」
後日
也「ーーってことがあってさ」
悲しかったけど、やっぱりおめでたいよね、と苦笑いする也に対して表情を固くしていく宮。
宮「……何よそれ」
也「えっ?」
宮「私、聞いてないんだけど!?!?!?」
也「あっ(今気付いた)」
宮「私だってK先生のみならず富永先生にだってお世話になったのよ!?どうして教えてくれなかったのよ黒須くん!!ばか!!」
宮坂ぽこぽこ百烈拳炸裂!也に100のダメージ!
也「わ~!ごめん!」
宮「私だってお二人に挨拶したいしお子さん達にも会いたい!セッティングしてくれなきゃ許さないから!」
という訳で今度はなんか有名なパティスリーに引っ張り出されるK富家。アフタヌーンティーセットとかあるような所。一也は自分の場違い感にちょっと小さくなってる。
ルート2
「……は?」と寝耳に水な人先生
何?子供?富永に?
感情の抜け落ちたその声に一気に冷静になる也(もしかしなくとも俺、やっちゃった……?)
大人しくなった也を逆に質問責めにする人先生
也はたまたま「お母さん!」と言って駆けていく生き写しレベルで人先生似の男の子と女の子、その先に居た富を見掛けた。なんか不思議な力が働いて也に気付かなかった富。双子と手を繋いで帰って行く富を呆然と見詰め、人先生似連絡した。
人先生は相変わらず低く冷たい声で「……そうか」と言って電話を切る。也は心中で「ごめんなさい、富永先生……」と謝るが真相を知りたいので人先生を止めません。というか止められません。
その足で引き継ぎをして村を出発、富永医院へ。
顔面蒼白な富を捕まえ、経緯を聞く。というか問い詰める形になってしまったが、人先生ずっと富と家族になりたかったので必死なだけです。
なんやかやありましてK富は和解、成立。人先生は一先ずホテルへ泊ります。
翌日、先ずは富のご両親に時間を貰って話し合いの場を設けて貰う。初手で土下座する人先生。
「大事なお嬢さんを信頼して預けて下さったと言うのに不義理をしてしまい、大変申し訳ありませんでした」
「ちょ、顔上げて!上げて下さい!!」
上げられる訳がねえんすよ。十年近く子供の存在を知らないで、富独りに決断と責任を負わせて自分は変わらず富を想っていただけで、家族になろうとしている。図々しく、狡いにも程がある。そんな情けない自分を受け入れてくれた富にまた甘えている。人先生にとって今できる最大の誠意のつもりだった。
富パパ「人先生は……研のことをどうお思いで」
人「私の人生において、最も得難き人です」
そうですか、と答えるパッパ。村時代は知らないけど帰ってきてから子供産んでキャリア重ねて、技術も能力も努力も磨き続け、苦労を重ねた娘を知っているから簡単には頷きたくないけど、それでも娘がただひとりと選んだ男。人先生にしたって技術の高さ、娘からの人先生への信頼の高さ、逆も然りで、誠実さは少ししか知らないけど娘のことはすごく大事にしてくれるだろう。何より「前線で戦いたい」という娘の願いを一番に汲んでくれるのはこの人をおいて他に居るだろうか。
悩むパッパにマッマは大丈夫ですよ、と声を掛ける。アイコンタクトで頷き合う。富永夫妻。
「娘をよろしくおねがいします。さあ、顔を上げて。……義息子の顔を見せて下さい」
ぐう、とした表情を隠せないまま顔を上げて礼を言う人先生。富の目には涙。
ここから双子と会うんだけどあまりに似すぎてお互いびっくり。
……弟ポジション也くんが何故かハブられてしまった浮かれた人先生の話の筈だったのに違う方向へ行ってしまった……。
双子は普段は富永家で暮らして長期休みに診療所に来たりする。両親が二人きりになれるように画策したりするけど龍あたりに「この歳で親のイチャつきを見るのはキツい」とか洩らしてる。龍は親のイチャつきなんて知らないから「ふうん?」ってカンジだけどK富のなんかキラキラして甘酸っぱい雰囲気に「こ、これか~~~!!」って双子とアイコンタクトする。