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    chiocioya18

    @chiocioya18

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    chiocioya18

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    雨想です。事後のキスマークの話。
    顔に出ないけど意外と熱に呑まれるタイプの雨彦さんなので解釈違いにお気をつけください。

    #雨想
    fleetingThing

    まだ指先にじりじりと快楽の余韻がある。皺の寄ったシーツに寝転んだまま吐いた息には熱が滲んでいた。もうろくに身体は動かないのに、欲望だけはもっとを求めてキリがない。とはいえ相手がいなければ欲しがったところでしかたない。雨彦さんは先にシャワーを浴びながら僕のために湯船にお湯を張ってくれている。なんとも甲斐甲斐しいことだ。
    この、事が済んだ後のクールダウンの時間が、どうにも苦手だった。なにせ最中は……絶えず襲い来る快感と有り余る多幸感で、頭がふわふわになりがちで。冷静になってから、なにかとんでもなく恥ずかしいことを口走ったりしでかしたりしたのではないかと居たたまれない気持ちになる。いっそ気絶して朝まで目覚めないくらいに抱き潰してくれれば、と都合のいい願望を抱えてみても、雨彦さんがそんな無茶を叶えてくれるとは思えなかった。

    「北村。風呂の準備ができたが、もう起き上がれそうかい」

    寝室へ戻ってきた雨彦さんが、広い背をかがめて僕をのぞき込む。汗を流してさっぱりした顔には余裕が見えて、きっとこの人は行為中も僕みたいに我を忘れたりしないんだろうなと勝手に少し拗ねた気分になった。

    「どうかしたか? もう少し休んでからにするかい?」
    「ううん、平気ー。お風呂ありがとう、いただくねー」

    うつ伏せていた体勢を起こす。辺りに散らばっていた服を拾い上げて、だるい身体を若干ひきずりながら浴室へ向かった。ほかほかと湯気を立てる湯船に浸かる前に、身体を洗ってしまおうと風呂用の椅子に座ってふと、気づく。

    「うわ……」

    両足、ふとももにおびただしい数の鬱血痕。執拗なほどのキスマーク。やられた、と唇を噛んでも後の祭りだ。思い返せば、確かに今日はやたらと吸ったり噛んだりされていた気がする。

    「秘め事の証 紅梅咲き乱れ…。ととのえてる場合じゃないなー…」

    ユニットイメージ的にもそこまで肌を見せる仕事はないにせよ、うっかり見られたら誤魔化しようがない。雨彦さんだってわかっているだろうに、こんなに痕を残すなんて珍しいというか、雨彦さんらしくない。
    もしかして僕がなにか煽ったりしたのだろうか……無いとも言いきれない。なにせ最中は頭がふわふわなので。ここで苦情を呈したら、自分からねだったくせにと揶揄われるのかもしれない。ニヤニヤ笑う狐の顔が浮かんできて、悔し紛れにシャワーのお湯を頭から浴びた。


    ****

    何を言われるかわかったものじゃないとはいえ、知らんぷりするわけにもいかない。お風呂から上がった僕は覚悟を決めて雨彦さんへ立ち向かう。

    「雨彦さん。あのさー」
    「ん、北村。おかえり……」

    ベッドのシーツを取り替えていた雨彦さんは振り向いて、手を止める。視線が刺さるのを感じて、喋り出しがまごついた。

    「…あの、これ、なんだけどー。さすがに付けすぎじゃないかなーと思いましてー」

    下着を履いていても隠しきれていないふとももの赤い痕たちを指し示す。付けたのは雨彦さんなんだけど、見せびらかしてるみたいでなんだか恥ずかしい。

    「止めなかった僕もよくないけど……。仕事には影響なくても、更衣室とか他の人と一緒になることもあるしさー。もう少し控えめに…」

    僕が言ってる途中で、雨彦さんはゆっくり自分の口元を手で覆った。ほらやっぱり笑ってるー、と思ったものの、その目が泳いでいて……あれ? もしかして……照れてる?

    「……悪かった。そんなつもりじゃ……」
    「え。わざとじゃないのー?」
    「付けたことは覚えてるんだが、そんなにとは……いや、すまん……」

    雨彦さんはいつになくしどろもどろに謝るばかりで、耳がほんのり赤くなっている。気づいてなかった? わざとじゃないなら、これって。
    ──雨彦さんも、夢中で我を忘れるなんてこと、あるんだ。
    至った結論に、今さら心臓がドクドクと活発に働きだす。余裕綽々な大人の男だと思っていたのに、本当はそうでもないのかも。

    「……次からは気をつける」
    「あ、うん……」

    ついに雨彦さんは困り果てたように力無くベッドに腰掛けた。その横で僕はそそくさとズボンを穿き直す。ちゃんと隠されているとわかっていても、あの斑点だらけの素足がたった布一枚の下にあるのは心許なくて落ち着かなかった。
    抱き潰されるのも案外、あとひと押しかもしれない。突然見えてきた可能性に、ちらと横目で雨彦さんを見つめてみる。まだ赤みが引いていない横顔に、なんて声をかけようか。


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