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    razuruprsk

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    razuruprsk

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    CPは類司(要素は最後のほうに少しだけ)のつもりですが、見ようによってはダショ司に見えるかもしれません。

    ※えむちゃん、寧々ちゃん、類くんは完全に猫化してます。

    猫の日話。「お兄ちゃん! 見て見て! この子、可愛かったの」
     咲希が差し出してきたスマホの画面には、お座りの状態の猫がこちらを見上げている写真が表示されていた。
     くりくりとしたまんまるの瞳と、絵に描いたようなむにゅとした口はその猫の可愛さを更に魅力的にしている。
    「可愛いな!」
    「あとね、この子なんだけど」
     一歌達と猫カフェに行った事が楽しかったのか、咲希は母親が夕飯の声かけをしてくるまでずっと話をしてくれた。
     あまりにも楽しそうに話すので夕飯を食べて風呂に入っている間も、猫カフェという名前が頭の中を占めていたのは秘密にしておくことにする。
    「猫カフェか」
     寝る準備を終えてベッドに潜ってからスマホで検索してみると、里親を見つけるのが目的だったり、猫を楽しむのが目的だったりと様々な形態の店舗が都内には、いくつかあるらしい。
     咲希の話を聞いた時に、楽しそうだなと思った。
     動物に嫌われるほうではないと思うが、好かれるかと尋ねられたら頷けない。
    「でも、えむは沢山の猫に好かれそうだ。寧々は戸惑いながらも寄ってきた猫を触って、類は性格の気難しい猫が居たらなつかれそうだな」
     四人で行くのも良いななんて考えながら、襲ってくる眠気に耐えられず瞼を閉じた。



    「よし! じゃあ、行くぞ!」
    「おーっ!」
    「元気よすぎ」
    「ふふ、行こうか」
     次のショーの内容について、アドバイスを貰おうと考えたオレ達はセカイへ向かった。
     白んだ視界が開けた瞬間。
     三人の姿はなかった。
    「は!?」
     一人で来た時、ショー用のテントから外れた場所だった事は何度かあった。
     だが、全員で来た時は一度もない。
     慌てる事はないと思うが、予想外の出来事すぎて焦ってしまう。
     早めに合流するべきか。
    《司くん!!》
    《司》
    《司くん》
    「うぇ?」
     考え込んでいると、足元から鳴き声と一緒に聞き慣れた声がしたので視線を向ける。
     そこには猫が居た。
     現実には居ない、桃色、浅緑色、紫色を持った三匹の猫。
    「えむ、寧々、類……?」
    《司くん、大きくなっちゃった?》
    《でっっか》
    《やっぱり、セカイは興味深いね》
     にゃあにゃあと喋る三人には、オレが大きくなったように見えるらしい。
     なぜ、オレ以外が猫になってしまったのか……。
     考えるまでもなく、心当たりしかない。
    「すまん! オレのせいだ!!」
     怒られるのを承知で叫ぶと、ビクッと三人の体が跳ねる。
     確かに、猫カフェに四人で行きたいと思ったが、その想いが三人を猫にしてしまうなんて思いもしなかった。
    《司くん、どよよーんだ》
    《ちょっと、どうしたの》
    《心当たりがあるみたいだね》
     三人に状況を理解してもらうには、姿を見てもらう必要があるだろう。スマホを取り出してカメラを内側に切り替えて見えるように差し出す。
    「本当にすまない!!」
    《ねこさんだ!!》
    《え、どういうこと》
    《おや?》
     こちらを見上げてくる三人と少しでも距離を近づけるために、正座で座る。正座を選んだのは、戒めの意味も込めているからだ。
     三人もお座りの体勢になっている。
     可愛い。
     そうではなく!
     説明をしなくては。
    「昨日、咲希から猫カフェの感想を聞いてな。四人で行けたらいいなと考えてしまい、その影響が出たようだ」
     三人が黙ってしまった。
     謝り倒せば許してもらえるだろうか。
    「本当に申し訳ない」
    《はぁ……》
     寧々がため息を吐きながら近づいてくる。
    《落とさないでよ》
    「え?」
     太ももに温かい何かが触れたので、見てみると寧々が乗って丸まっていた。
    《あたしは抱っこがいいなー!》
     フンフンと鼻を鳴らしながら、えむがキラキラとした瞳で見つめてくる。
    「これでいいのか?」
     左肘辺りにえむの顎を乗せるようにして、尻を支えるように抱き上げた。
     振動が腕に伝わり、ゴロゴロという喉を鳴らす音が聞こえる。
    《僕はここにしようかな》
    「うおっ!」
     軽やかな動きで肩に乗ってきた類は、上手いことバランスを取りながら立っている。
     グラつく時があるので、少しでも足場が広くなるようにと背中が丸まってしまう。
     体勢としては若干つらいが、滑り落ちて怪我をしてはいけない。そのまま動けないでいると、寧々があくびをした。
    《別に怒ってるわけじゃない》
    「そうなのか?」
     寧々のふさふさとした尻尾が揺れて、太ももをペシペシと叩いてくる。
    《皆で行きたいっていう気持ちは嬉しかったから》
    《今度、皆で行こうよ!!》
    《それはいいね、次の休演日にでも皆で行こうか》
     立っている事に疲れたのか、類は肩から飛び降りると体を伸ばしてからお座りしていた。寧々もそれに倣うように、太ももから降りて座った。
    《もう少し付き合いなさいよ》
    「どこへ行くんだ?」
    《付いてきてごらん》
     痺れている足のせいで呻き声が出るが、スタスタと歩いていく二人を追う。えむは降りそうになかったので、腕の中に居るままだ。
     追いかけた先にあったのは、ルカのお気に入りの芝生。
    《寝て》
    「あ、あぁ」
     えむを降ろしてから、寧々の指示通りに寝転がる。
    《あたし、ここー!》
     すぐにえむが腹へと乗って、収まりの良い場所を決めて体を丸める。
    《ぽかぽかだぁ》
     そう呟くと、寝息を立て始めた。
    《えむの隣にしようかな》
     寧々はえむよりも胸に近いほうに陣取ると、同じように体を丸めて寝始める。
     右手で寧々を、左手でえむを撫でていると、右頬に類がすり寄ってきた。
    「類?」
     手を止めて類へ伸ばすと、人差し指がガブリと噛まれるが痛みはない。
     そのまま、あぐあぐと噛まれ続ける。
    「どうした?」
    《なんとなくかな》
    「寝ないのか?」
     尋ねると類は噛むのを止めて、鼻をスンスンと鳴らしながら近付いてきた。
     顔の真横に座ったかと思えば、ザラリとした舌で唇を舐めてからグリグリと頭を押し付けてくる。
    「なんだ、どうしたんだ」
     くすぐったくて、笑ってしまう。
    《この姿で見るのも、新鮮だけど。いつものほうが良いかな》
    「すまん」
    《謝ることはないさ。たまには、のんびりと過ごすのも悪くないね》
     それに答えるように顎の下を撫でてやると、気持ち良さそうにしている。さっきの言葉を思い出しながら目を閉じるていると、お腹から感じる温かさもあり眠気がやって来た。
     類を撫でていた手も止まり、うとうとしてしまう。
    「るい、おやすみ」
    《うん、おやすみ》
     頬にも温かさを感じながら、俺は夢の世界へと落ちた。


     カイトに起こされた時には、三人はいつもの姿へ戻っていた。約束した通り、次の休演日に四人で猫カフェに行ったり食事をしたりして楽しんだのだった。


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