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    razuruprsk

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    razuruprsk

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    類くんが宝物を見つける話。
    類くん視点。
    ある少女漫画の告白シーンが好きで、類司にさせました。

    ※元ネタとは違う部分が多々あります。

    元ネタ漫画が分かる方は、私と握手しましょう。


    ねんどろいど、楽しみだなー!!!

    #類司
    Ruikasa

    虹のふもとには 広げていた本から視線を外して顔を上げると、青柳くんがこちらへ歩いてきている。
     時計を見ると、閉室時間が迫っていた。
    「すまないね、読み耽ってしまったよ」
    「いえ、気にしないでください」
     本を手に持って、青柳くんと並んで貸し出しカウンターへ向かう。
     貸し出し手続きを終えて、僕は荷物を取りに教室へと戻る。
     二学年の教室のある階に同級生たちの姿はなく、部活動をする生徒の声が響く。
     スクールバッグと次回の公演で使う予定のドローンが入ったバッグを手に取り、茜色の差す教室を出た。
    「司くん、まだ居るかな」
     さすがに帰ってしまっただろうと考えながら、隣のクラスを覗き込もうとした時。
    「好きです、付き合ってください!」
     たくさんの想いが詰まった、一生懸命な言葉が聞こえた。
     気付かれないように、体を隠す。
     人が告白される場に居合わせた事は何度かあるが、独特な雰囲気には慣れない。
    「どうかな? 天馬くん」
     探していた人の名字が聞こえて、一瞬だけ息が詰まる。
     女子生徒は緊張で声が震えているが、その中にわずかに期待の色が滲んでいた。

    彼女の想いに、司くんは応えるだろうか。

     彼は一見、目立ちたがりの印象を受けるが、きちんと話を聞いてくれるし、困っていたら手を貸してくれる。
     だからこそ、クラスメイトや同級生からは厚い信頼を向けられているのだ。
     上級生や下級生にもファンは居るようで、数人のグループで話題の中心になっていたのを聞いた。

    了承するのだろうか。

     胸の辺りがモヤモヤとして、気持ちが悪い。
    「すまない、君の気持ちは嬉しい。だが、好きな人が居るから応えられない」
     司くんが断ったのと同時に知った事実に、胸の気持ち悪さが増す。
    「そう、だよね。ハッキリと言ってくれてありがとう」
    「オレを好きになってくれた事、感謝する」
     張りつめていた空気が和らぎ、二人の間に蟠りがないという事が伝わってくる。
    「上手く行くといいね」
    「どうだろうか、今の関係でも十分すぎるくらいだからな」
     彼女は彼の好きな人に心当たりがあるらしく鼓舞すると、司くんが小さく笑う声が聞こえる。

    司くんの好きな人って誰だろう。

     そんな疑問が浮かんだ。
     その後、どうやって自宅に帰ったのか覚えていない。気が付けば、作業場のガレージに置かれたソファーに座っていた。
     日が暮れて、外も室内も真っ暗だ。
     灯りを点けようと立ち上がり、記憶を頼りに作業机まで歩く。
    「いった……」
     落ちていた小さな部品を、足裏の真ん中で踏んでしまい激痛が走る。痛みに耐えながら手探りでデスクライトに手を伸ばして、スイッチを入れると手元が明るくなった。
    「なんで、こんなに気になるんだ」
     椅子に座って、机に突っ伏す。
     足裏の痛みに呼び起こされるように、司くんの言葉を思い出してしまう。
     自分の中で渦巻く不可解な感情に名前をつけようとしてみるが、更に解らなくなるだけで出口のない迷路に閉じ込められた気分になった。
    「はぁ……、完全に詰んでるな。とりあえず、着替えないとね」
     制服のままだったと気付き、部屋着に着替えていると空腹を訴える音が鳴る。
     今日は二人とも、深夜の帰りだと言っていたはずだ。
     キッチンへ向かい、準備してあった夕飯を食べてガレージに戻った。
    「考え込んでも変わらないか」
     深呼吸をして頭を切り替える。
     途中だったプログラミングを完成させるために、ソフトを入れているパソコンを起動させた。



    「いってきまーす!」
     外から聞こえた元気な声に、時計を見れば朝の六時になろうとしている。
     寧々の家とは反対側から響いたから、隣に住んでいる中学生の息子さんだろう。
     日曜日なのに、こんなに早く出掛けるのは部活動だからだろうか。
     没頭しすぎて、徹夜をしてしまった。
     凝り固まった体を伸ばして気が緩むと、昨日の司くんの言葉を思い出す。
    「こんな事、今まで無かったのに」
     モヤモヤとした気持ちが戻ってきて、部屋の空気を重く感じてしまう。
     気分転換をしようと、スマホだけを持ちドアを抜けて外に出た。太陽の光が眩しくて、ゆっくりと瞬きを繰り返す。
    「どうしようかな」
     特に行く場所は決めていなかったから、満足するまで歩こうと足を進める。
     日曜日となればこんなに早い時間に活動している人は少ないので、日中は人で溢れている大通りは閑散としていた。
     時折、夜通しで遊んでいたと思われる大学生のグループと擦れ違う。
     神山通りの近くにある公園に辿り着いた時、ポツリと水滴が頬に当たる。
    「え」
     まさかと思い空を見上げれば、雨雲が広がっていて落ちてくる水の量が増えてきた。
     公園で雨宿りが出来る場所は限られているので、全身をびしょ濡れにしながら近くにあったすべり台の下へ走り込んだ。
     幸い、立っていても頭がぶつからないのでそのまま雨が止むのを待つ。
    「にわか雨かな」
     確か、突然降り出して止むのが特徴だと本で読んだ事がある。
     通り雨も同じだけど、一時的か断続的の違いがあるらしい。
     すべり台に雨が落ちる。
     不規則な音だけれど、不快にはならない。
    「司くんのピアノみたいだ」
     包み込んでくれるような優しさを含み、そして力強さを感じさせてくれる。
     また、あの音色を使って彼を輝かせたい。
     ふと、司くんの笑顔を思い出す。
    「会いたいなぁ」
     昨日、学校で会って話をしたのに隣に座って彼の視線や声、全てを独り占めしたい。
    「……え」
     ふと、自分が考えている事は友人に対して向けるものではないと気付く。
     心臓が早くなり、体温が上がる。
    「そんな、こと」
     あるはずがない。と続けられなかった。
     だって、寧々やえむくん、瑞希にそんな感情は持たない。
     好きな人や恋人が出来たと言われたら、笑顔で背中を押して見守る事が出来る。
     でも、司くんから言われたら笑えない。
    「どうして」
     思考から彼の事を追い出すように、別の事を考える。
     次のショーの演出、朝食、ずぶ濡れになった服の不快さ。
     でも、どれに対しても【司くんはどうするだろう】とついて回る。
     彼の事ばかりを考えてしまうのは。
    「あぁ、そうか……」
     認めてしまえば、簡単だ。
     告白現場を見た後の気持ち悪さやモヤモヤは、一般的には独占欲や嫉妬と称される感情。逃げ出すように帰ってしまったのは、司くんの口から好きな人の事を聞きたくなかったから。
    「僕は司くんの事が好きなんだ」
     いつの間にか雨は止んでいて、見上げると雲の間から青空が顔を覗かせている。
     すべり台の下から出て帰るために来た道を戻ろうとすると、右横の方角に虹が架かっていた。
    「虹のふもとには宝物がある」
     そんな言い伝えを思い出す。
     根本にあるとされる物は、カップや柄杓、金など国によって違う。
     見ることは不可能とされているが、条件が揃えば見えるらしい。
    「そんな事が出来れば、皆やお客さんも喜んでくれるだろうな」
     手にする事が出来ないと知りながら、七色のアーチを追いかける。
     僕が進めば離れていくのは当然で、徹夜明けのテンションも手伝い、走るのが楽しくなってきた。
    しばらく走ると、開けた場所に出る。
    「は……っ!」
     目の前に広がる光景に息を飲む。
     虹のふもとに彼がいた。
     好きな人の後ろ姿を間違えるはずがない。
    「つかさくん!」
    「え、類!?」
     走り出しながら聞こえるように呼ぶと、振り向いた顔が驚きに染まる。体当たりをしそうな勢いのまま、司くんに近付きその体を抱き締めた。
    「司くん、つかさくん」
    「どうした……って、びしょ濡れじゃないか!」
     彼を濡れさせてしまうなんて配慮は出来なくて、ぎゅうぎゅうと力を込める。
     冷えた肌が司くんの体温に触れて、本来の温度を取り戻していく。
    「離れないで、僕の手が届く場所に居て」
    「類?」
    「司くんが好きなんだ」
     抱きしめた体に力が入るのに気付いたけれども、腕の中から離す事は出来なかった。
     叶わないなら、今だけでいい。
     彼を僕だけのものにしたかったのだ。
    「少し離れてくれないか?」
    「やだ」
    「大丈夫だから」
     優しく諭すようにお願いされてしまっては従うしかなく、ゆっくりと体を離してアスファルトを見つめる。
    「こっちを向け」
     司くんの手が頬を包み、少しだけ視線を上げさせてきた。
     彼は嬉しそうに笑っている。
    「どうして、そんなに嬉しそうなんだい?」
     同性から恋愛感情を向けられて気持ちが悪いだろうに……と、続けそうになった口を固く閉じた。
     自分の気持ちを否定したくなかったから。
    「好きなやつに告白されて、嬉しくないはずがないだろう」
    「すきなやつ?」
     衝撃が大きすぎてポカンとしていると、頬から司くんの手が離れて僕の手を握る。
     繋がれた先で感じる熱が熱い。
    「類と同じ意味で好きだぞ」
    「本当に?」
    「嘘のほうが良かったか?」
     その言葉に、首を勢いよく横に振って否定する。両想いなのだという事実をじわじわと実感してきて、体が温かくなってきた。
    「手が温かくなってきたが、風邪をひいたのではないか!?」
    「風邪じゃなくて、司くんと恋人になれるんだなと思ったら体温が上がってしまったみたいなんだ」
    「そ、そうか」
     へにゃりと頬を緩めた姿が可愛くて抱き締めそうになるけれど、今のままだと彼を更に濡らしてしまう。
     抱きしめたいけれど司くんを濡らしたくはないと、葛藤していると肌触りの良いタオルが頭に被せられる。
    「オレはコンビニに寄った時に雨が降ったから濡れなかったが、このままだと類は風邪をひいてしまうかもしれないな」
    「寒さは感じないから平気だよ?」
    「バカなことを言うな。とりあえず、家に帰って着替えろ。そして、セカイで待ち合わせをしよう。な?」
     正直なところ、もっと話していたかったが、体調を崩すなんて事はしたくない。
     病気に対して敏感な司くんに、不安を与えてしまうだろう。
     でも、やっぱり離れたくなかった。
    「司くん」
     お願いする時に使う声色で名前を呼べば、言いたい事が分かった司くんの瞳が揺らぐ。
    「うっ……。はぁ、分かった」
     スマホを操作し終わった司くんは空いた手でタオルを取って、僕の髪をわしゃわしゃと拭いてくれる。
    「良いの?」
    「類は帰ったら風呂に入れよ」
    「うん」
     先回りで釘をさされ、シャワーできちんと体を温めようと決めた。
     タオルを返そうとしたが、使ってくれと言われたので甘える事にする。
     さっきは気付かなかったけれど、大きめのフェイスタオルからは、自分の家とは違う柔軟剤の香りがして少しだけ落ち着かない。
     そわそわと視線をさ迷わせると、僕をここへ導いた虹が消えていた。
    「虹のふもとには宝物がある。か、フフ、本当の事だったみたいだね」
    「にじ、ふもと? あぁ、有名な言い伝えがどうかしたのか?」
     不思議そうにこちらを見てくる司くんに、後で僕の身に起きた童話のような出来事を語ろう。
    「行こうか、司くん」
    「あぁ!」
     公園の出入り口に向かって、並んで歩き出す。
    「類。これから先、ずっと一緒に、ましてや手の届く範囲に居る事は難しいだろう」
    「うん……」
     僕達にはそれぞれが思い描く未来がある。
     そのためには、今のままでは居られないというのも事実だ。
    「でも、オレが類を手放したくないと思っている事は覚えていてくれ」
    「僕も手放さない」
     仮に地球の正反対の場所に離れたとしても、メッセージや電話、手紙など距離を埋められる手段はいくらでもあるんだ。
     褒められた使い方ではないと分かっているけれど、司くんの想いで創られたセカイで会う事だって出来る。
    「そういえば、司くんはこんな朝早くに何をしていたんだい?」
    「少し早く起きたから、ランニングをしていたんだ」
     いや、それなら司くんだって汗をかいて体を冷やすだろう。
     しかも、僕が抱きついたから濡れてしまっている。
     僕の事を案じる前に、自分の事を顧みてほしい。
     先に温まってほしいと言っても首を縦には振らないだろうから、ササッと済ませて交代しようかな。
     下着の替えは未使用のものがあったからそれを渡して、多少はサイズが大きいだろうけど僕の服で問題ないはずだ。
    「どうかしたのか?」
    「何でもないよ」
     そうか!と笑う司くんの笑顔は前より輝いていて、好きだなという想いが際限なく溢れてくる。
     頬が緩んでいくのを自覚しながら、僕の家へと急ぐ。

     この後、オーバーサイズの服を着た司くんの姿に葛藤する事態になるのだった。

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    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
    18↑?
    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
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