大きめのタブレットを横向きに机の上に置いて、アプリを起動してそわそわと待つ。その横には乾きものがメインのつまみとどぶろくの瓶がひとつ、おちょこにはなみなみと白い液体が注がれている。
時間は夜半、ひとりっきりのしんと静かなセーフハウスの二階の、大きな大きな窓から月明りがこうこうと覗く、ふたりでいつも晩酌をするダイニングに、無機質なコール音だけがしばらく空気を震わせて……、
『……お待たせしました』
ぱっと画面が切り替わって、そうして現れた顔と声に、モクマはぱっと表情を明るくした。
「チェズレイ!」
『モクマさん。お元気そうでなによりです』
「へへへ。元気元気。お前さんは何飲むの?」
『私はアイスワインを。一杯でやめておきますが』
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