無題重りを失ったメトロノームのような足取りで歩む唸り声が、崩壊の一途を辿りつつある運命の街中に響く。
荒廃した世界には生者を死者とすべく徘徊する"アンデッド"たる魑魅魍魎が跋扈していた。
「今なら動けそうね...」
その制服は、既に泥や汚れによって女子高生特有のかつての華やかな雰囲気が今では見る影もなくされている。それでも尚、頭のリボンは以前と同じような綺麗な赤色に保たれていることから、彼女の衣類に対する拘りは、まだ捨てられていないことが伺える。呼吸を止め、可能限り物音をたてずに今では使い物にならないかつて自動販売機であったものの裏から、無造作に大量の廃棄物が積み重ねられた山の陰へと移動し、華奢な身体に長い黒髪が特徴的な少女と合流する。
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