おわかれにむけて 风息の力を借りた任務の帰り道だった。大抵风息は館への報告は无限に任せて、一人でさっさと帰ってしまう。その彼が館の入口であるビルまでついて来たので、珍しい事もあったものだと思っていたのだ。
別件で呼び出しを受けているのか、はたまた館にいる者に用事があるのか。近年は放浪の日々を送っていたとはいえ、彼は元々この土地の有力者だったのだ。実は龍游支部に関係する妖精に顔見知りが多いと知ったのは、つい最近の事である。
入口で风息と別れてから、无限は手短に報告を終えた。龍游の館には无限の古なじみもそれなりにいるが、何もこんな時間に顔を出してもらわなくても良いだろう。ビルの外はとっぷりと日が暮れて、半分くらいに欠けた月が顔を出しているようだった。
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