夢見る杉元(仮) 杉元佐一は子どもの頃、両親と見に行ったイルミネーションに魅了された。
それを見に行ったのは忘れもしない大晦日。夜の澄んだ空にキラキラと輝くイルミネーションはまるで満天の星空のようだった。幼い佐一は美しく夜空を彩る煌めきに目を奪われ、心をときめかせた。佐一の心を惹きつけたのは煌めくイルミネーションだけではなく、それを仲睦まじく幸せそうに眺める恋人同士もだ。
「カップルばっかりだなぁ。佐一、しっかり手繋いでろよ」
佐一の父親は人混みで幼い我が子とはぐれてしまわぬよう大きな手で佐一の手を包み込んだ。
「かっぷる?」
「ああ、みんな好きな人と一緒に来てるんだろう。佐一の父さんと母さんもカップルだったんだぞ」
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