婚前交渉宿儺はソファにどかと座ると足を組み膝に肘を着いて顎を乗せるとその細長い指で頬を叩いた。
「あれ?宿儺、今日伏黒と出かけるって言ってなかったけ?」
キッチンから甘い香りのカップケーキを皿に乗せながら出てくると悠仁を見つめる。
「やめた!」
「機嫌が悪ぃ」
あはっはっと笑いながら隣に座るとラッピングを始める。綺麗に包まれていくケーキを見ながら宿儺は溜息をつく。
「彼奴のか?」
「そうだけど?宿儺のもあんぜ!」
差し出されたカップケーキを宿儺は受け取ると口に含む。
「で何があったんだよ?伏黒と?」
「・・・キスされた」
「良かったじゃん!幸せそうで」
悠仁は楽しげに鼻歌を響かせながらラッピングを完成させて行く。綺麗な青色のリボンとオレンジ色リボンで結ばれた袋を眺めて悠仁は微笑んだ。
「・・・結婚前だぞ?」
「んっ?」
宿儺の言葉に悠仁はピシッと固まるとギリリギリリとぜんまい仕掛けの人形の様に顔を動かして悠仁は宿儺を見つめる。そこには頬を少し染めて溜息をつきながら顔を背ける宿儺がいた。
「結婚って・・何年後だよ?伏黒可哀想じゃん?えっえっちもなの?」
「なぁ!お前はアイツとしたのか?」
その言葉に今度は悠仁は真っ赤になり口をパクパクさせると、ソファに座り直して椅子を掴む。
「したよ・・悟さんと」
「はぁ!付き合いだしてまだ3ヶ月だろ!?」
「いや・・・中学から付き合ってキスすら許して貰えない伏黒が可哀想じゃん!」
悠仁の言葉に宿儺が固まる!
「だいたい結婚までしないって、昭和なの?いや明治、大正?そんなんじゃ伏黒に嫌われるんだからな!」
「淫乱よりましだ!」
「いや嫌いにはならい」
「いや3ヶ月でセックスしたからって淫乱にはならないよ!」
大好きな声に悠仁は弾かれたように顔を上げて腕を伸ばす。
「迎えに来たよ悠仁」
「あんがと悟さん」
その体を抱きしめて五条は微笑む。
「じゃいこうか?」
「待ってケーキ焼いたから」
カップケーキを渡すと悠仁は五悠と部屋を出ていく。
「あのな」
伏黒の声に宿儺体がビック跳ねる。
「お前がそれを通したいなら俺は待てるから」
その言葉に宿儺が顔を上げる。そこには優しい顔の伏黒が居て宿儺は目線をそらす。
「キ・・キスぐらいならする」
「虎杖の言葉気にしてんなら」
「違う!おれも・・・したい・・」
その言葉に伏黒が赤面するのだった。