大人になるために必要な幾つかのこと 昭和八十一年、とある法令が施行された。
政府の懸念事案であった少子高齢化は、ある時深刻な転換期を迎える。女子の出生率が全体の三分の一を切ったのだ。一時的なものではという楽観論は、すぐに覆される。年々低下の一途を辿り、さすがに何か手立てを打つべきと論議が重ねられるが、生憎男女の産み分けは神の領域である。ヒトの手で左右できるものではなかった。
同時に婚姻率も徐々に下がっていったのは自明の理であるが、意外な弊害が出ることになる。性犯罪が増えたのだ。また、他の犯罪に至る動機も突き詰めれば、性欲を解消できない不満にあった。
女児は産まれた時点で嫁入り先の打診がされる。当然のことながら富裕層に限られるので、一般的な家庭の男性は、よっぽどの縁がなければ生涯独身か、同性相手をパートナーにする他ない。
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