今はもう引っ掻かないはじめてBAD DOGSとしてイベントに参加したその後。彰人たちがそれなりの歓声を得、同時にそれなりの厳しい評価を得たそのステージから退場したあとのこと。
観客からは見えない袖まで来た途端に、組んでまもない相棒はがくんと膝を折ってその場に座り込んでしまった。
「え、おい冬弥……?」
あまりにも突然の行動に彰人は驚いて声をあげるが、どうやら目の前の彼は声が聞こえていないのか返事がない。彰人もしゃがみこんでみれば、冬弥の顔色は会場の熱気に反して青白く、その息は歌いきったこととは別に不自然に荒い。ぜぇぜぇとした呼吸音は彼の身体の異常事態を告げているようで。
「どうしたんだよ、具合でも……ん?」
そして何より。
「……猫、でいいのか?」
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