弄んでいたらバチが恋をしている女性は可愛いと思う。
瞳孔が大きくなり、その瞳はキラキラと輝く。
それが自分に向けられ、さらに自分も憎からず思っている相手からなら尚更だ。
降谷零はそんなことを頭の片隅で考えながら、宮野志保がデスクまで持ってきた資料の説明をするのを聞いていた。
普段はつけていない小ぶりなピアスをつけ、その身体からは微かにスパイシーな香水の香りもする。
年上の降谷に合わせ、大人びた雰囲気を醸し出そうとしているのかもしれない。
「……というわけだから、明日には完全なデータを提出できると……な、なに?」
デスクに頬杖をついて志保の顔をじっと見つめている降谷に気付いて、志保が説明の言葉を止める。
狼狽えた様子で僅かに頬を染め、降谷を見つめ返してきた。
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