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    ChlhayaFavorite

    ローカルヒーロー、ヴィラン
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    Twitterに連続投稿してたものを加筆修正したけど、あんまり小説の体は成してません。
    広い心でお読みください。

    #ガワ軍服
    #フクオカリバー
    fukuokalibur
    #修羅王丸
    shuraKingPill
    #キタキュウマン
    kitakyuman

    ガワ軍服 少尉殿、潜入調査に挑むwithイケメンと三途さん上級将校らしき1人を倒し、その軍服を奪う。てっきり僕が着るものと思っていたらしい副官は、それを差し出されてキョトンとした。

    「僕はこれからちょっと上階を見てくるね。だからこれは君に」

    機転が利く彼だから、もし直ぐに助けに戻れなくてもこれを着ていれば何とかするだろう。

    「行ってくるね」

    制止の声を背中で聞きながら、目標と、そこまでのルートを探す。
    流石は敵の中枢。豪奢な建物故に、足場や手掛かりになるものがあちこちにある。
    「よし、あの窓までは行けるね」
    ひとつだけ開いている窓。
    誰かいる可能性は高いが、上手くいけば屋内に潜入できる。

    それに、いい匂いもするし。

    一方、副官は静かに怒っていた。
    ちょっと待て。
    そもそも小隊長自ら潜入捜査なんて有り得ないし、更に独りで、しかも間違いなく敵の中枢機関がある建物に侵入だなんて、無謀が過ぎる。
    そう思いながら、素早く手渡された制服に腕を通す。

    足手まとい等になるものか。
    何か起こった時最善の策を取捨選択する。
    その為に私はいるのだ。

    取り付いた窓枠から、ひらりと出窓の中に着地。
    ずっとロッククライマーみたいな事をしてたから、地面に脚が着くとホッとした。
    ちょっと息切れしてるのを堪えて声を掛ける。

    「ねえ、一時休戦しない?」

    いい匂いの正体は焼きたてのクレープ。
    その前に鎮座する部屋の主は、綺麗な色の紅茶を手にしたままだ。
    こちらの気配を察していなかった筈はない。なのにここに至るまで見逃していたのだ。
    何故そんな事をしたのかはわからないが、とりあえず害意は感じない。
    だから。

    「僕もお茶したいな」

    喉も乾いたし、とにっこりしながら黙ったままの相手を見遣る。
    いつもの厳つい軍服ではなく、鈍色のシャツを開襟にしてノーネクタイの彼は…あれ?思ってたより若いのかな、なんて思っていたら。

    「三途、つまみ出せ」

    低い声が命じた途端、何処からか現れた大男が咆哮と共に錫杖を振り下ろして来た。
    軍刀で受けるのは無理。
    避けながら反撃の隙を窺うしかない。
    でも。

    クレープは諦めたくないな。
    ちらりと、甘い匂いがするテーブルの上を見る。

    うん、まだ手を付けてないな。

    そう確認してから、横薙ぎに襲ってきた錫杖を足掛かりに大男の肩に飛び乗り、そのまま背中を蹴った。
    たたらを踏んだその隙に、テーブルの上から皿ごとクレープを攫う。
    赤い眼と視線が合うが、動く気配はない。

    「いただきまーす」

    部屋の調度を壊さないようにしているのが見て取れたので、素敵なグラスやカップが並ぶキャビネットの前に立つ。
    やはり錫杖を振るわない。
    ちょっと行儀が悪いけど、と思いながら皿からそのままクレープを頬張る。

    あ、これ蕎麦粉のやつだ。

    なんていったっけ、えーと?と思いながら、洒落たデザインのランプを盾にクレープを食べ終える。
    空になった皿をテーブルの端に戻し、もう一度部屋の主を見遣ると、呆れ顔で紅茶に口をつけていた。

    「…何故、ここがわかった?」

    至極当然な質問に、ある意味正直に答える。

    「通りがかったら、いい匂いがしてたから覗きに来たんだ」
    「通りがかった…」
    「うん。美味しそうだなあって」
    「衛兵は何をしているのだ…」

    ここは帝都、しかも元首の居室もある"城"とも呼ぶべき場所。嘆息するのもわかる。
    より深くなった眉間の皺を撫でるように、長い指で半面を覆った"大佐"は、その指の隙間からこちらを見た。
    昏い赤がくくくと嗤い、細身に見える身体が闘気を纏う。

    「この先に、は流石にだめかな」
    「当然だ」

    言うなり薙いできた刃を躱す。
    背後からの錫杖も避け、くるりと背面跳びで窓際まで引く。
    そこでようやく、腰の軍刀に手を掛けた。
    ゆっくりと腰を落とし、2人を見据える。
    その張り詰めた空気を、階下からの破裂音が切り裂いた。

    「ごちそうさま、大佐」

    1秒にも満たない、でも充分な隙をつくってくれた副官に感謝しつつ、ひらりと窓から身を踊らせる。
    眼下に、もうもうと上がる煙と、その中でもきらりと鮮やかな赤。
    軽やかな着地に翻る外套を、敵国の制服に身を包んだ長身が腕組みをして見下ろしていた。

    「ありがとう、ごめんねえ」
    「…ごめんで済まなかったかもしれないんですよ…?」
    低い声音に、彼の胸の内を思う。
    けれど。
    「どうしても、確認しておきたかったんだ」
    どうしても。
    彼がここに居ると。

    でもまさか、スイーツ好きとは思わなかったなあ。

    「何が可笑しいんです!?」

    思わず笑ってしまったのを聞き咎められる。

    「ああ、ごめん。ちょっとね」

    あの美味しいクレープ。出来たてだったけど、もしかして自分で焼いたのかな。
    それともあの大きい彼が?
    どちらにしてもちょっと面白い画だよね。

    「…笑ってないで、戻りますよ。そろそろ煙幕も晴れる」
    「うん、行こう!」

    次来る時は、こちらでもたのしめるかな。
    ちゃり、と腰の軍刀に手を掛けた。
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