Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    konatu_0722

    @konatu_0722

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 37

    konatu_0722

    ☆quiet follow

    🐇の後日談。

    #刑桐
    paulowniaWood

    ほんの仕返しのつもりだった。
    先日着用するようにねだられたバニー服。
    あんなものを用意する桐ケ谷の気が知れないし、刑部に着せようとするのも理解し難い。
    結局着ずに突き返したので、どうなったのかは知らない。ただ、やられっぱなしは面白くない。
    どうせなら桐ケ谷も驚くような仕返しをしてやろうと、似たような服を用意した。
    見た瞬間顔を顰める桐ケ谷を見られれば溜飲は下がったのに、どうしてこうなったのだろう。

    「どうよ」
    我が姿を見ろとばかりに仁王立ちしている桐ケ谷を視界に入れて、刑部は絶句した。
    所謂逆バニー服と呼ばれるそれは、長い手足を黒く光沢のある布で纏ってはいるが、大事な部分が隠せていない。辛うじて尻は覆われているが、背中と、なにより鎖骨から股下まで全開となっている。
    桐ケ谷の普段隠れている肌が露わになって、胸の薄らした谷間も適度に割れた腹筋もくびれた腰も、一切隠されていない。
    唯一、小さな三角形の布が胸の頂と股間を隠しているぐらいだ。それすらも、緩い紐で括られているので心許ない。
    目を丸くしたまま言葉のない刑部が面白くないのか、目を眇めた桐ケ谷が近づいてきて顔を掴んで上げる。頭に着けてあるウサギ耳が、嗤うように見下ろしてくる。
    「んだよ、お前が着ろっつったんだろ?」
    「そうだが、まさか本当に着る奴がいるか」
    二の句が告げない様子を見て、桐ケ谷は何かに気づいたようで口をにんまりと歪ませる。
    「着たら以外と面白いぜ。それにほら、こないだ剃ったばっかだから、ここも…キレイだ」
    そう言って臍から下、股下に向けて手でなぞる素振りを見て、思わず刑部の喉が鳴った。
    「ははっ!正直だな。…よっと」
    座っている刑部の膝を跨いで、足の上に腰を下ろしてくる。バランスを取るために肩に手を置いてくるので、思わず腰を掴むが指が腰骨を引っ掻き、桐ケ谷が甘い息を吐いた。
    「……晃、」
    「なぁ、これからイイコト、しようぜ」
    顔をぐっと近づけて内緒話のように提案される。ついでに股間もぐっと合わさり、息が弾む。
    悪戯好きなウサギの誘いは、甘い音に満ちていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🐰💕🐰💕🐰🇪🇱🇴ℹ👯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    konatu_0722

    MOURNING日常推理モノが書きたいと頑張ったけど、面白くないのでここで供養
    「呪いって信じるか?」
     深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
    2883

    related works

    konatu_0722

    MOURNING日常推理モノが書きたいと頑張ったけど、面白くないのでここで供養
    「呪いって信じるか?」
     深夜午前二時。明かりを消して怪談話をするにはもってこいの時間だが、同じベッドに眠る刑部は興味の欠片もないようで欠伸をしている。桐ケ谷だって別段、怖い話をしようと考えたわけではない。ただ単に、ふと思い出しただけだ。
    「お前の口からそんな単語が出てくるなんてね。どうした、夜中のトイレに行くのが怖くなったか」
    「そんなんじゃねぇよ。ただこないだ大学の先輩に変なこと言われてさ」
     興味を持ったのか、枕に預けていた頭を腕に乗せてこちらを見てきた。
    「詳しく話してみろ」

     まだサブスクにも上がっていない話題の映画があった。興行収入何百億だかで、大学でも見に行ったと話題で持ちきりだった。あいにく桐ケ谷は見てなかったが、同じ学部の先輩が興味あるならDVDを貸してくれると言う。その先輩は二年に上がってから同じキャンパスで通う内に仲良くなり、来年は大学院に進むらしい。スタオケの練習と授業の兼ね合いが難しく、提出物に困っていると声をかけてくれたり、過去テストの情報をくれたりと工業部では珍しい部類の穏やかで気配りができる人で世話になっている。そんな先輩から、興味があるならと借りることができた。家に帰り早速観ようとパッケージを開けると、中は何の印字もされていないDVDが一枚。普通はタイトルが印刷されているのにおかしいなと思いつつデッキに入れようとしたところで、その先輩から電話がかかってきた。
    2883

    recommended works

    ukiistok

    DONE高2の時の刑桐幻覚。刑部さんが旧スタオケに加入して横浜へ通うことで桐ケ谷くんと会う時間が減ってそうだな。たまに会えたときは甘い時間を過ごしていたらいいなという妄想。寛容にご覧ください。
    ブランク――桐ケ谷?全く、久しぶりに学校へ来たかと思えばこれか。
    名前を呼ぶ声と、嫌味たらしい小言が不思議と懐かしい。机に伏したまま、桐ケ谷は近づく足音に耳を澄ませた。
    こいつと二人だけの時間というのは久しぶりな気がした。別に喧嘩をしたわけでもないし、疎遠になったわけでもない。ただ、お互いそれなりに多忙だったのだろう。
    特に刑部は、生徒会や家の事で駆り出されているにも関わらず、近頃は横浜まで足繁く通っていた。刑部にスターライトオーケストラという学生オケから声がかかったのはこの春のことだ。学校経由での誘いだったこともあり、優等生の面を被る刑部は断れなかったのだろう。「せいぜい楽しんでくるさ」と自嘲気味に笑う横顔を見た夜から三ヶ月ほどが経つ。そのオケは界隈でも名が知られていて、週末などはホールで演奏会なども行っているそうだ。どこにそんな時間があるのか全く理解できないが、忙しくしている方が性に合っているのだろう。
    1857

    asaki

    PAST2022.12.18[星々が紡ぐ旋律2]にて展示していた作品。

    卒業式後、気持ちに見て見ぬふりをする桐ケ谷と落ちてくるのを待つ刑部の話

    ※多分、今後続きます。
    【刑桐】Irresistibile/春 すうすうと無防備に寝息を立てる男の姿を、初めて見たかもしれない。
     二人掛けのソファに窮屈そうに脚を投げ出し、胸元には読みかけの参考書らしきものが伏せられている。
     ベランダの窓は開け放たれ、生成りのシアーカーテンが揺れるたびに影が揺らめく。甘い匂いを乗せた風がはらりはらりと桜を誘い込んでくるのか、室内に桜の花弁が散っていた。
    (絵になる男――)
     まるで映画かドラマのワンシーンのようで、桐ケ谷は思わず舌打ちしたくなった。


     高校を卒業したら進路は分かたれる。今までのようにつるんではいられない。
     地元の専門学校に進んだ桐ケ谷と、都内の大学に進学した刑部――どうしたって、共有する時間は減る。中学と高校時代、小学校の時よりも一緒にいた時間は少なかったが濃度が違った。ぎゅっと凝縮されていて、いつでも桐ケ谷の後ろには刑部がいるような気がしていた。事実、スターライトオーケストラとして活動している間は刑部とほぼ一緒にいたと言っても過言ではない。菩提樹寮へ通う際も、一緒にツーリングしているような気になった。
    4975