ある「元」光の戦士の6.01その9「ただいまー」
ペンダント居住館の自室に勢いよく入る。あたりはすっかり暗くなったが無事帰還した。
部屋の中にはだれもいない。背後をドワーフがまじまじとこちらを見ながら通り過ぎていった。
フィーネはちら、と振り返ってそそくさと中に入り扉を閉める。
「ただいま」
椅子の下を覗き込むも、求めている姿はそこにはいない。
「我が『美しい枝』~?」
戸棚の瓶の陰を探す。
「おかしいなあ」
フィーネは荷物を下ろす。旅装を脱ぎ捨て、放り投げる。ドレッサーを開けて軽装に着替え、ソファに腰をおろしてようやく息をつく。
座ったまま荷解きをしながら、持ち帰った食材を取り出していく。
「なんだっけ、これ」
青々とした葉っぱをつまみあげる。そういえば、茶葉になりそうなので試しに持ち帰ったんだった。後で処理して煎茶にしてみよう。
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