書きかけのレオ♂ダ♀ちゃん再開話窓の外から聞こえてくる鳥のさえずりで、目が覚めた。まだ重たい瞼をゆっくりと開きながら、頭を傾けて窓の方へと視線を動かす。
カーテンの隙間から射す陽の光は確かに朝の光であるのだけれれど、しかしその光はカーテン越しだという事を含めてもまだ弱弱しく、辺りは薄暗い。早朝も早朝。夜が明けたばかりだ。
ベッドから身を起こす前に、深く息を吐き出して、今日もあたしはゆっくりと自分の名前を小さく呟く。これが今のあたしの毎朝の日課だ。
……変な事をしていると思われそうだけれど、これにはあたしなりの理由がある。実はあたしには、一年以上前の記憶がなかったりするのだ。
去年のちょうど今頃。この村の近くの森の中で、あたしは大怪我をして倒れていたらしい。モンスターにでも襲われたのか、それとも事故か何かにあったのだろうか。何せ怪我をしていた本人に記憶が無いのだから、一年が経った今でも詳しいことは何も、誰にも分かっていない。
27275