ワンライお題、嘘今日はエイプリルフール。嘘をついてもいい日。というわけで。
「お前の顔なんて好きじゃねぇ。」
隣に座って饅頭を頬張るエサウにそっぽ向きながら告げる。好きじゃないだなんて、もちろん嘘だ。エサウの顔は逆立ちしたって好みど真ん中。その顔に、嫌いという直接的な言葉を使いたくなかった。
どんな反応をしているのかチラリと横目で見ると。エサウはぱちくりと数回瞬きして饅頭を食べ終え、突如ガシッとユダの顔を掴んで無理やり自分側へ向けさせ固定した。
「ユダ。私の目をよく見て、もう一回言って下さい。」
長い睫毛に縁取られた瞼によって伏し目がちに細められたターコイズブルーの瞳が悲しさを物語るように潤んでいる。その顔でそれは卑怯だ。わざと顔を見ずに告げたのに。ああ、もう!
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