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    まちこ

    twst/ジャミ監が好き 幸せになれ

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    まちこ

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    失恋した監督生と慰めるジャミル先輩のジャミ監

    #ジャミ監
    jamiAuditor

    「迷惑だ」

    「え?」

    「大体異世界から来たなんてそんな話、誰が信じると思う?君と一緒にいると嫌気がさす」

    「どう、し」

    「はっきり言わないと分からないの?」



    “君のことが心底嫌いだよ”



     どうして、この間まで一緒に笑ってくれてたのに。楽しかったのに。本当に、好きだったのに。



     空は真っ青に晴れていて、目が眩むほど太陽が眩しい。日差しは優しく降り注いで程よい熱を制服の黒が吸収する。足取り軽く歩いて行く同級生をぼんやり眺めながら、胸はぎゅうぎゅうに締め付けられた。

     彼は優しかった。グリムを探していたらいつの間にか一人になっていた私に声をかけてくれて、探すのを手伝ってくれた。結局グリムはエースとデュースの場所にいて、何をしていたんだと理不尽に怒られるオチが付いてしまったけど、それを一緒に笑って流してくれたことが嬉しかった。錬金術の授業でペアになったときもあたふたしている私を助けてくれたし、向こうの世界の話をすれば興味を持って聞いてくれて、寂しくなって泣いてしまったときはそっと慰めてくれた。帰りたい、とこぼした私に、帰れるよ、一緒に方法を探そう、なんて、言ってくれた。二人で図書室で本を探す瞬間が幸せだった。私は確かに彼が好きだった。きっと彼も私を好きでいてくれたと思ってた。・・・それはとんでもない自惚れで、本当はとんでもなく嫌われていた、わけだけど。

     嫌われる原因はいったいなんだったんだろう。


     景色がじんわり滲んでいく。出したくないのに空気が漏れて喉が鳴る。ぎゅっと震える肩に力を入れれば空気だけじゃなくて声まで漏れた。失恋の痛みは久しぶりだ。そしてこんなに痛いのは初めてだ。

     誰と一緒にいてもどこか心細かったから、一番に寄り添ってくれる彼のことをこんなにも好きになったんだと思う。



    「・・・どうしたんだ」



     ベンチが軋む。隣に座ったのはジャミル先輩だった。



    「・・・嫌われ、ちゃって」

    「・・・例の?」



     小さな一言に頷く。唯一私の恋を知っていたジャミル先輩は黙ってしまう。沈黙は重たくて今の私は溺れそうだった。


     心の底から軽蔑したような目が頭から離れなくて何度も何度も心臓をえぐる。どこもかしこも痛くてたまらなかった。



    「そんなに擦るな。腫れるぞ」



     ハンカチの一枚も持ってないせいで制服の袖で必死に涙を拭っていたら優しくその手を止められた。少しだけ硬い指先が目元を撫でて涙を払ってくれる。滲む視界の中、ジャミル先輩は眉を下げて困ったように笑っていた。



    「君がそんなに泣いていたら、調子が狂うだろう」

    「せんぱい」

    「・・・今すぐ泣き止んでくれとは言わない」



     頭に手が乗ったかと思えばそのままゆるりと抱きしめられた。目の前にある肩に、思わず顔を埋める。



    「だけど、泣いた後は笑ってくれ」



     穏やかな声が全身を包み込む。落ち着く体温、余計に涙が止まらない。



    「ずっと隣にいるから」















     彼の視線の先にはいつも彼女がいた。二人とも顔を合わせれば頬を染め、別れるときは寂しそうに肩を落とす。軽やかな足取り、辺りを気にしない二人の世界。入る余地はないと言われているような、そんな雰囲気。

     そのうち口を開けば二人は手でも繋ぎそうで。



     先輩からの呼び出しに素直に応える丁寧な後輩だった。物腰は柔らかく、口調も穏やか。真面目そうで腹立たしいほど俺とは逆の人間だとすぐに察した。
     呼び出したとき、彼は手元にたくさんの本を持っていた。分厚い歴史書からファンタジー小説まで、幅広く“異世界”が絡むような内容の本ばかり。にじみ出る彼女への好意が目に付くたびに不愉快だった。



    「ジャミル先輩、どうされました?」

    「君が持ってるその歴史書、実は次の授業で必要なんだ。すまないが少し貸してくれないか?」

    「ああ、いいですよ!」



     人の目をまっすぐ見て話すところは好都合だが、彼女にもこう接しているのかと思うと気分が悪い。


     さっさと終わらせる。



    「瞳に映るはお前の主人。尋ねれば答えよ、命じれば頭を垂れよ───」



     バサバサとたくさんの本が足元へ落ちていく。



    「スネーク・ウィスパー」



     大きくぐらついた彼を眺める。ゆっくり上げられた目は赤く染まっていた。



    「君には今からユウを傷つけてもらう」

    「・・・はい、ご主人様」

    「立ち直れないほどボロボロにしてこい」



     行け、と言った声は自分が想像していた以上に冷たかった。そして言われるまま行ってしまう彼の後ろ姿は滑稽でおかしい。



    「・・・ははっ!」



     まだ見ぬ一人で泣く彼女の心を、体を、これからゆっくり自分で上書きしていく未来が待ち遠しくて背筋がぞくぞくした。
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    まちこ

    PROGRESSジャミルが逆トリップする話/ジャミ監
    監督生が成人してる
    (本当に魔法が使えないとは)



     小さく光を反射したマジカルペンを振ってみるけど自分の髪は一房も持ち上がらない。花を思い浮かべても手元に一輪だって出てきやしない。向こうの世界にいたときに当たり前に感じていた魔力は実は世界の空気自体に含まれていたようで、こっちの世界じゃ微塵も魔力を感じられなかった。

     ピンクのシーツに包まれた枕に顔を埋める。ほのかな花の香りが、制服を着た彼女の後姿を瞼の裏に思い出させる。それは懐かしい光景だった。両隣にはいつも一年生のコンビが陣取っていて、足元にはグレーの猫がリボンを揺らしながら偉そうに歩いている。俺はいつも遠巻きにそれを眺めていた。

     カタカタと響くタイピング音。たまに聞こえる咳払い、遠くからは変な呼びかけをする男の声がする。曰く“サオダケ”というものを移動販売しているときに流れてくるものらしく、昔からあるもの、なんだそうだ。

     少し顔を上げると、紺色のカーディガンを羽織った背中が見えた。瞼の裏に浮かんだ制服を着た背中より大人になった彼女がいる。長く伸びた髪は乱雑にまとめられていて細かい毛束が白いうなじに垂れているのを見るとこっちがくすぐった 1230

    まちこ

    MOURNINGずっと我慢していた感情が大爆発した監督生と、その監督生にどう接していいか分からなくてやるせないジャミル先輩のジャミ監

    ジャミル先輩好きな人ほど慰めるの下手くそだといいな(願望)
    「魔法も使えないくせによくのうのうと学園で生活できるよな」

    「いろんな寮の寮長ともつながり持ってるらしいじゃん」

    「いいよなあ、俺も異世界から来ました!とかふざけたこと言っていろいろ免除してもらいたいわ」



     聞くつもりなんてないのに、毎日嫌でも聞こえる彼女の悪口。異世界から来たから、魔法が使えないから、女だから、イレギュラーをつまんでは面白おかしくこねくり回して下品に笑う生徒を見るのは不快だった。不快に思うようになったのは、彼女の人となりを知ってしまったからだろう。必死で足掻いてる彼女を見ていたら、少なくとも俺は馬鹿らしく悪口で時間を過ごす気にはなれない。



    「酷いことはやめろよー、こいつ俺たちと違ってこんなちっぽけな魔法さえ使えないんだぜ?」

    「そうだった!あの狸みたいなモンスターより何にも出来ないんだったな!」



     部活終わり、夕飯のメニューを考えていた頭に流れ込んできたのは馬鹿にしたような笑い声だった。会話にもならない暴言の内容ですぐに彼女が絡まれていることに気づいて辺りを見渡すと、大きな木の方に三人分の人影が見える。

     音を立てずにそっと近づいて行けば、は 1467

    まちこ

    MOURNING元の世界では成人していた監督生と振り回される17歳のジャミル先輩のジャミ監

    振り回されてる自覚もあるし悔しいのにどうしても相手に勝てないジャミル先輩かわいいよねって気持ちだけで書きなぐった。
    机に置いていたヘアオイルを手に取って一息つく。今日も今日とてカリムは他の寮の人間を招くもんだから仕事は忙しかった。だけどいつもよりイライラしなかったのはその中に例の寮の彼女もいたから。



     軽いノックの音。それだけで扉の向こうが寮生やカリムじゃないことが分かる。まあカリムならノックなんてせずに問答無用でずかずか入ってくるから論外か。

     扉を開けるとそこには貸した少しだけ大きいスカラビアの寮服を身に纏った彼女が笑顔で立っていた。



    「こんばんは」

    「どうした、こんな時間に」

    「会いたくなっちゃって」



     いたずらに笑う顔に胸が高鳴る。悔しいがドキドキしていることを誤魔化すために咳ばらいをすると彼女は口元に手を当ててくすくす笑っていた。



    「この年だったら、こんなかわいいこと言っても許されるんですね」

    「・・・笑うな」

    「入れてください、寒いので」



     腕に触れた小さな手は冷たくなっていて俺は慌てて彼女を部屋へと招き入れた。危機感のなさに落ち込みもするけど、喜びの方が勝ってるのがやっぱり悔しい。

     気づいたら好きになっていた彼女は、向こうの世界では成人してい 1504

    まちこ

    TRAININGくそでか激重感情をこじらせているジャミル先輩と、そんなジャミル先輩のくそでか激重感情には気づかず片思いをしていた監督生のジャミ監

    ある意味両片思い
    彼女のそばにいるといつも気を張って生きている自分が惨めになった。無邪気に誰にでも笑いかける顔に胸はかき乱されて、疑いもせず俺に接する姿に苦しくなる。悔しいことは、辛いことは、苦しいことは、悲しいことは、何も知らないような、純粋な瞳から捕らえるたびに、俺はたまらず死にたくなった。彼女が永遠に気づかないこの気持ちに付ける名前なんて見つけられなくて、ただひたすらもがくしかできない。喉をかきむしって歯を食いしばって、どうしてこんなことになったんだと、泣きたかった。



    「ジャミル先輩、好きです」



     誰もいない図書室、彼女は俺の隣に座って言った。いつもより少しだけ照れくさそうで、顔がわずかに赤く見える。彼女の言葉に嘘偽りないことは誰が見ても分かる表情だ。
     心臓が早鐘を打って気分が悪くなる。喉をかきむしりそうになった手を必死に抑え込んだ。


     彼女が気づいていない俺の気持ちには名前が付けられないのに、俺に向けられた彼女の気持ちには名前が付いている。


     何かに期待をしたような目をふさぎたかった。



    「何を言ってるんだ」



     必死になって流そうと言葉を振り絞るけど、そんな必死な 924

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