輪郭がとろりと溶けて夜の色に溶けていく。それは私の指先も同じで、日ごろ努力をして美しさを保っていた肌さえ一瞬で闇の中だ。溶けた指先は酷く冷たかった。
ルームウェアが肌に貼りつく嫌な感覚で目が覚めた。遮光カーテンを引いた部屋は真っ暗で、私の浅い呼吸の音と時計の針が進む音だけが響いている。
またあの夢だ。真っ暗なくせに何もかも鮮明な悪夢はいつも私をなかなか離さない。そのせいで寝苦しい夜が続いていて、体調のコンディションもあまりよくない日が増えた。今はまだ誰かに指摘をされたことはないけれど、いつかバレるんじゃないかと思うとたまに背筋がひやりと冷える。悪夢のせいで寝付けなくて体調を崩すなんてあまりにも愚かで情けない。だから絶対にバレてはいけないのだ。私のプライドが許さない。
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