とこしえ 柔らかい日差しが、縁側を優しく暖めている。
朝晩めっきりと冷えるこの季節は、今の時間帯が一番過ごしやすい。胡座をかいて、ただぼんやりと庭を眺めていた。
「ーーやっと終わったなァ」
全てが終わったあの日、己が言えた言葉は其れだけだった。もっと気のきいた台詞を言えば良いものを、後にも先にもそれらしい台詞は言えていない。
しかし、あの時は声を出せただけでも御の字と言っていいだろう。喉は焼けるように熱く、肺は直接押し潰されているのではないかと思うほど苦しく、血を流しすぎたせいで指一本さえ動かせなかったのだ。
けれどそれは、彼も同じだった。疲労困憊し、意識も朦朧としているにも関わらず、普段から無口のアイツにしては珍しく「そうだな」と返してきた。
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