それは一時の 量の多い髪を結い上げてうなじを見せている姿に、サモナーは立ち止まった。
学園軍獄は、「学園」と名がつく通り、一応……本当に一応だが、教育機関としての役割も持っている。囚人や下士官たちは生徒の役割も兼ね、教官の教えに従っている。光景としてはシュールだろうが、誰も疑問を差し挟まなかった。
差し挟めなかったのかもしれないが。
練馬区にあるそこへ遊びに来たサモナーも、学園軍獄の授業風景はたまに見ていた。ジャイアントたちがランニングをする様や、ルチャドールたちが教科書を共有して覗き込んでいる様を、何度か目にしている。
今日だって、何でもない授業風景を眺めていた、はずだった。
体育とは名ばかりの、戦闘指導といったほうが正しいだろう授業で、バロールとテスカトリポカが並んで囚人たちの前に立っている、珍しい景色。
2308