想・喪・葬・添 18話(結局、『ずっと一緒』だなんて無理だった
『好き』だけでは届かなかった
……けれど、どうしても届いてほしい想いだった)
花火大会の翌日、江澄は久しぶりに出社していった。
退職について話をつけてきたとのことで、夕刻スーパーの袋を下げて帰ってくるなり、「昼間は引継ぎがあるから出かけられないけど、なるべく定時で上がる。だから夕飯は一緒に用意しよう」と言ってくれた。
その提言通り、確かに江澄は定時で切り上げ帰ってきてくれた。けれど、夕食後は荷造りやら新しい仕事の勉強で忙しくしており、今までのような穏やかな時間が流れることは、ほとんどなかった。
江澄は昔から決断すると脇目も振らずに進む性格だった。
時には真っ直ぐ過ぎる言動に視野が狭いなどと他人から評されることもあったが、一生懸命で何かに一途でいられる姿はいつだって魅力的だった。
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