命短し恋せよ人間 恋とは落ちるものであり、苦しむものであり、狂うものであるという。
落ちるのは一瞬で、思い通りにならないことに苦しみ、今までの自分には戻れないほどの大きな変化を伴うものだと、俺は一人の吸血鬼に恋をしたことで知ったのだった。
吸血鬼退治人でありながら吸血鬼に魅了されたのかと呆れる者もいるだろう。けれど俺はドラルクという存在に心の底から惚れ込んでしまったのだ。ドラルクとの出会いは強烈で、思い出そうとしなくても強烈に焼き付いて忘れることは決してないと断言出来る。城が壊れたからと自分を誤解であっても退治しに来た男の家に転がり込むなんてどれほど危機感がないのだろうと、相手が吸血鬼であることなんて忘れて頭を抱えたものだが、ドラルクと使い魔であるジョンとの日常は今まで感じたことがないほどに騒々しく、退屈なんて感じる暇がなかった。
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