正しいからこそ ぐしゃり、と音がした。
それは生まれた頃から知っているような、何度も何度も行っているから気にしなくなったような、だからこそ““それ””が何であるかなんて考えもしくなった、耳馴染みの、そんな音。
ぐしゃり、と踏みしめた。
ぐしゃり、と崩れた。
ぐしゃり、と割れた。
ぐしゃ、ぐちゃ、べちゃくちゃ、びちゃびちゃぺちゃぺちゃ、ぱちゃぱちゃ、ぽちゃぽちゃ、ぐちゃっ、ああ、まだまだ踏みしめる事が出来る。
昔から風邪一つ引いたことこないこの頑丈な身体が、雨の日だからと外遊びを我慢出来る筈もなく、風神ヴァーユの子たる自分なら、あまりの大嵐にあってしまっても、視界を遮られる事はなかった。
雨が少し止んできて、雨で泥濘んだ地面を踏む時の音が、今自分の足の裏から聞こえる。
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