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    mic_tamanegi

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    mic_tamanegi

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    5月に出したい本

    目撃!893と萬屋が同棲してる!?(仮)春の新生活に向けた引っ越しラッシュが落ち着きを見せた頃。
    ヨコハマのタワーマンションの最上階からヨコハマのタワーマンションの最上階への引っ越し依頼が舞い降りた。

    くれぐれも丁寧にな、下手すりゃ沈められるぞと先輩バイトに真剣な目で言われ何事かと思ったが、成る程。
    これは沈められる。

    「カシラ、盗聴器のチェック終わりやした。」
    「隠しカメラの設置も見られません。ご安心を。」
    「おう。待たせたな。じゃ、作業頼むわ。」

    頼むわじゃねえわ。
    なんだこの部屋。なんだこのメンツ。
    元の部屋も凄かったがこの新居はやべえ。最上階に一つしかない、ペントハウス?初めて見たわ。
    そして見るからに物騒なお兄さん達がワラワラと。中央に立つのはハマっ子なら誰もが知ってる王様。碧棺左馬刻様じゃねえか怖えよ。なんなんだよ。

    ベテラン作業員の先輩方はさすがプロで営業スマイルを崩さず、爽やかな笑顔で「じゃ!始めさせていただきますねっ!」なんて言ってっけど、俺は気付いてっからな。今脇汗やべえでしょ?俺も俺も。

    眼光鋭いお兄さん方に見守られながら黙々と作業を進める。
    家具家電のほとんどは新しく用意した物を既に設置済みで、作業量はそんなに無いはずなのに有り得ない緊張のせいで目眩がしてきた。
    だが今倒れたら、この新居に傷でも付けたら、確実に俺の明日はヨコハマ港の底。
    耐えろ俺。生き延びろ俺。

    命からがら最後の荷物を運び終え、段箱の処理をしていると、品のあるインターホンの音が響いた。

    「おう。入ってこい。こっちももう終わる。」

    やべ。ガス屋か?早く終わらせねえと。

    「ちわっす!お邪魔します!」

    あーやべ。入ってきた。急げ急げ。

    「お邪魔しますじゃねえよ。お前んちだろ。」
    「いやー!照れるぜ!すげえ部屋だな!」

    お前んち?左馬刻様は代理での立ち合いか?こんな部屋住む富豪ってどんな人…

    「お疲れ様っす!お世話んなってます!」
    「えっ、は…はい……」

    山田一郎!!??

    「お前荷物そんだけか?」
    「あと軽トラに段箱3つ積んでる。これどこ置こう?命より大事な円盤とラノベなんだけど。」
    「あー…とりあえずここ置いとけ。お前の本用の部屋あっから後で運ぶぞ。」
    「マジかよ最高だな!」

    なんで山田一郎がここに!?お前んちって言ったよな!?ここに山田一郎が住むってことか!?え、左馬刻様が代理人!?この二人バチバチにやり合ってなかったっけ!?

    「お前ら、一郎の荷物運べ。そのままブクロまで軽トラ持ってけ。一郎、車の鍵。」
    「え!いいって!自分でやるから!大した量じゃねえし!」
    「うっせ。オラ、行け。」
    「押忍!」

    強面のお兄さんがゾロゾロと部屋から出て行った。
    なんだ。世間の知らない間に和解してたのか。まぁディビジョンの顔だし、そんなプライベートな事を大っぴらに出来ねえよな。ふーん。こっそり知れてちょっとラッキーかも。

    「テレビはまだ?」
    「ん。お前こだわりのでけえテレビは夕方着予定。」
    「はー!楽しみだな!」

    これって…
    左馬刻様立ち合いじゃなくて、もしかして一緒に住むのか?
    だってそうだろ。元の住居はハマのタワマン、碧棺左馬刻宅だった。そこから荷物を運んだんだ。
    マジか。ハーコーとビッグブロー、一緒に住むのか。シェアハウスってやつか?
    確かに一人で住むには広過ぎる家だし…
    TDD時代はこの二人、めちゃくちゃ仲良かったもんな。
    そっか。いいな男二人のシェアハウス。
    しかもこんないい男二人。たまに女呼んでさ、乱痴気騒ぎとか。夢あるわー。

    「おい。行くぞ。撤収。」
    「っうす!」

    先輩の声で我に帰る。
    やべえ。夢も何も、現実的に考えてここは物騒な部屋だろ。さっさと撤収だ。

    「では碧棺様!作業は以上で完了しましたので!」
    「おう。お疲れさん。」
    「ありがとうございました!お世話様でした!」

    山田一郎爽やかだな〜。
    気持ちのいい挨拶に見送られ、玄関の扉が閉まるまで全員で頭を下げる。

    そろそろ閉まったか、と思い顔を上げたが流石高級マンションの扉。重いんだろう。想像以上にゆっくりのスピードで、扉の隙間をしっかり見せてくれた。

    誰もが知る男が二人、鼻先を擦り合わせ、徐々に唇を合わせる姿。
    驚きや嫌悪は湧かなくて、ただただ綺麗だと、うっとり見惚れてしまった。
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