翔→巻 (あまてる風味を添えて)「巻緒アニさん、ちょっと持つぞ」
「ありがとう玄武くん」
ソファに座っていた僕は、視線の先で起きた光景に息をのんだ。
本棚の上にある段ボールを取りたいらしい巻緒さんを、玄武さんが抱え上げたのだ。まるで大きな荷物を肩代わりするみたいな言葉とともに。
玄武さんは、315プロの中で雨彦さんに次ぐ高身長だ。体格もよくて筋肉もしっかりついているから、巻緒さんが段ボールに向かって腕を伸ばしてもふらつくことなく支えている。巻緒さんも、玄武さんが支えきれずに落とすなんて全く考えてないみたいだ。
もし、僕の背が玄武さんくらい高かったら。もし、僕に巻緒さんを抱えられるだけの力があったら。もし、僕が巻緒さんと同じ年だったら。
きっと僕だって、困っている巻緒さんを助けることができたのに!
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