混色「たーつみ。誕生日おめでとう!」
にこにこと。
こちらの不機嫌を隠しもしない表情に、彼は全く臆することをしなかった。ひとつの曇りすら浮かべないその笑顔は、一周回って酷く薄情に思われる……いや、これは穿った見方、かもしれない。伊縫一というのは、単純に、そういう男なのだ。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして! ね、ロウソク貰ってきたんだ、せっかくだし立てて吹き消すことまでやっちゃわない? ホールだし、食べ切るのは明日以降でもいいからさ」
──そういう。こういう、押し付けがましい男なのだ。
「お気持ちには感謝しますが……こちらにも予定がある、とか考えなかったんですか」
「え? 予定あるの?」
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