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    Cloe03323776

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    Cloe03323776

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    カイドウの女・ヤマトの母の話を捏造します。
    夢小説に近いと思いますが、ほぼオリジナルキャラ感。
    どんな経緯でヤマトが生まれたのか、について。

    #カイドウ
    #ヤマト
    yamato
    #夢小説
    dreamNovel

    姑獲鳥 生まれた時はそうでもなかった。
     おそらく、二、三歳を過ぎた頃なのだろうか。
     私が他の人とは違う成長をし始めたのは。
    「気味が悪いねェ」
     それ以外の言葉をかけられたことがない、というのは極端ではあるが。私の中ではその言葉が、自分の中でも当たり前になるぐらい、それしか言われてこなかったように思う。気味が悪い、とはどういう意味なのかを理解する頃には、それでもあまりに自分の心と体に馴染んでしまっているせいで、違和感はなかった。
     私は気味が悪い存在だ。それを自分で自然と認めて、生きてきた。

     さらに、私の両親はどんな人たちだったのだろう、と考えるぐらいには、両親と暮らす時間は短かった。私の気味の悪さに辟易とした彼らは、私が三歳ぐらいの頃に、私を鈴後の土地に捨ててしまっていた。
     ただ、今から思えば、もう一つ理由があったのは明らかだ。私と一緒に暮らしていれば、なかなかの食べ物が必要なので、彼らが生活をしていくためには捨てざるを得なかった。口減しの文化は致し方ないことだ。それで、皆が共倒れになってしまったら、尚更意味がない。本当に必要とされる人間が生き残るべきだ、という考えの元であるなら、役に立たない穀潰しの私が捨てられてしまうのもまた、道理であった。
     そのように、意味づけを自ら行うようにしなければ、心も体も動けなかった。

     それから私は、鈴後の極寒の地で、自分の体がどうにかギリギリ入る洞窟で、自分で食料を調達しながら、細々と。暮らしていた。住んでいる人間も少ないので、その観点では非常に良い環境であった。他の誰かが住んでいる土地であれば、どうされていたかも分からない。何せ、私は気味が悪い人間なのだから。過去に向けられてきた「目」から、逃れたかったのだ。
     この時、すでに私の身長は二メートル弱。どんどん大きくなっていく体を、どうにもできなかった。自ら大き目の石などを使って洞窟の中を削っては見るもの、限界もある。が、それを続けるしかない。
     そして、常に体温が異常に高いことも、気味の悪さの一つであった。触れた雪は途端に溶けていってしまう。このような極寒の地でも関係がない。その身体的特徴のお陰で、私は生きていけた。後は、とにかく、食料さえあれば。その調達に随分と苦労をした。ただでさえ全てが雪に埋もれている鈴後では、そう簡単には食料が取れない。他の土地まで足を運び、魚を獲ったり果物を獲得したり、奔走する日々だった。
     独りで。

     そうやって食料が少ないにも関わらず、私の体のどこからこのエネルギーが湧いてくるのかについては、疑問なまま。
     ひたすら、日が昇り、日が暮れて、を繰り返しているだろうに、ほぼ雪が降って曇り空の鈴後では、それすらもあまり感じにくい環境だった。夜だけだ、よく分かるのは。体が冷えるわけではないが、真っ暗闇では灯りが恋しくて焚き火をする。それも冷たい風でよく消えてしまう。何度も、何度も石を打ち合わせて火を起こし続ける。必死であった。私にとっては、その明かりは失いたくないものであった。
     何日が過ぎて、何年が経過しているのかすら。私には分からない。数えることもしなかった。この時の私には、数えるという発想もなかったのだ。何せ、学がない。ただ、ひたすら本能の赴くままに、生きることばかりを考えて、行動していた。

     こうして、幾度となく夜を過ごした先で、私の体に変化が訪れた。
     この時の身長はおそらく四メートルほどにまで伸びていた。
     どうにも起きた段階から、妙な腹痛で動けず、お腹は空いているはずなのに空腹感はなく、妙な気分であった。いつも高い体温が少し下がっているような気もして、衝撃を受ける。あれほどカッカと熱を持っていたのに。お腹を抑えてどうにか痛みをやり過ごそうとしたが、次に気持ち悪さが勝ってきて、ゲェゲェと外で吐いてしまった。それでも体調が元には戻らない。
     今までに感じたことがない体調不良だ。ギュウッと下腹の中を締め上げられている気分が続いて、どうしようもない。今日は一度もご飯を食べられないかもしれない、だなんて思っていると。股の間から妙な感覚がした。
     どろっと何かが出てくる感覚だ。驚いて、私は思わずそこへ手を伸ばした。

     ベッタリと、手のひら全体に血がついていた。

    「──────ェ」
     怪我をして見る血とは、全く違う。しかも止まらない。どうして、と思う間に、どんどん血が体から抜けていく感覚。頭がグラグラと揺れて、貧血が起こり、私はとうとう意識が飛んだ。その時、気がついていなかったが、私は十五歳を迎えていたのだ。体だけがどんどん先に大きくなっていき、内部の成長はおおよそ人並みだったようだ。
     洞窟の中で、血を垂れ流しながら、横になって倒れている私の体は、このまま停止していくことが予想された。

    ***

     カイドウが初めてワノ国に上陸した時。
     これは都合の良い土地を見つけた、と思うのと同時に。
     つまらない、とも感じた。
    (どこもかしこも、弱そうじゃねェか)
     それは、この国の土地も、生きている人間もだ。
     特に平々凡々な世界過ぎる。まるで、大きな脅威にも出くわしたことがないのかと思えるほど。
     それはあながち、間違ってはいなかった。そもそもワノ国近辺の海流は激しく、脅威のある敵が襲ってきたことは、ほぼなかったのだ。
     龍の姿でワノ国の上空を飛ぶ。カイドウにとっては、あまりに小さ過ぎる。易々と、島を一周出来てしまった。それぞれの地域の特徴も、上から見れば分かることも多い。
     そうして雪の降る鈴後の上空に差し掛かった時。妙な気配を感じたのだ。
    「……なんだァ?」
     じっ、と見渡していると、微かに風に乗って香ってきたのは血の臭いだ。目を細めて、カイドウはその出所を探そうとした。雪で真っ白な世界に対して、それは違和感でしかなかった。
     しばらくぐるぐると上空を回っていると、沈黙していた世界に、一点だけ動きがあった。一つの洞窟から、何かがズルっと這い出てきたのだ。だがそれは、すぐに動かなくなってしまった。
     獣人の姿になって、その現場に着地すると。うつ伏せに倒れている女の姿があった。上半身だけが飛び出ている状態だ。さらにそれがただの女ではなく、大型の女だったことが、カイドウを瞠目させた。
    「こりゃ、どういうことだ」
     自分の体よりは小さいものの、普通の女ではないその体躯に。カイドウは興味を示して、よくよく観察をした。血の臭いは相変わらず漂ってくるが、女の体から出血箇所は見当たらない。
     女の頭を掴んで、顔を上げさせると。血の気が引いて蒼白になっている。息も荒い。体調が悪いのかと思い、カイドウはその巨体をずるずると引き摺り出した。その時に、ずるずると血の跡が雪に伸びていくことに気がついた。
     下半身が何らかの怪我を負っているのかと思い、その服をめくってみると股の間から出血していることが分かった。驚いて、カイドウはよくよく体を観察した。そして、この出血は女特有の現象であることに考えが至って、ふぅっと息をついた。
    「なんだ、驚かせるなよ」
     ここはワノ国だ。想定外の怪奇現象でも起こっているのかとカイドウは思ったのだ。原因が分かって良かったものの、目の前の女は衰弱の一途を辿っている。カイドウは面白さ半分で、女を鬼ヶ島へ持って帰ることにした。
     興味本位が一番だったのだけれど。自分の「相手が出来そう」な女性を探していたことも相まって、カイドウにその衝動を働かせたのだ。
     子供が新しい玩具を見つけたかのような足取りで、カイドウは女を抱えて龍化する。壊れてしまえばそこまでだけれど、それまでは楽しく遊べそうだなという予感がしていた。
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