ベッドに潜り込む「春ー」
「んー」
「はーるーーー春さーん」
「分かってます分かってます」
夜の帳も下り、ベッドの上で二人。一人はベッドと布団の間に身を挟み込んだ後、相手を呼ぶ。もう一人は名前を呼ばれながらも手にした本に視線を落としたまま。
何度恋人の名を呼んでも生返事しか返ってこず、さすがに立腹せざるを得ない。ベッドサイドの淡いランプの光に照らされた春の横顔は綺麗で、溜め息を吐きつつも見惚れてしまったりなど。
「もー先に寝ちゃうからなー」
「あー待って……! もう少しで切りのいいところだから……! ……はい! 今終わりました!」
春は本に栞を挟むと勢い良く本を閉じ、ベッドサイドに置いた。そして、そのままベッドに潜り込んでくる。
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