大田黒の憂鬱俺は辻峰高校弓道部2年大田黒賢有だ。
弓道部はじっちゃんが弓道をしていたことがきっかけで入部した部だが、今となっては本当に入って良かったと思っている。俺の美的な筋肉を活かせるし、何より県大会優勝、全国大会でもいい成績を残せた。
その功績は間違いなく二階堂あってのものだ。
指導者もいない、練習環境も悪い、先輩達はいい人達だけど素人同然‥そんな弱小辻峰高校弓道部を創意工夫して引っ張ってきたのは同学年の二階堂永亮。ちょっと変わったヤツだが悪いヤツじゃない。そんな二階堂と俺は射場横にある用具室の中で備品整理をしていた。
「黒ちゃん、ちょっと離れて。暑苦しい」
「お、悪い悪い俺の筋肉が隆々なせいで」
「言ってろ」
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