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    いさな🌱

    主に犬辻
    🔞はこそフォロ限、ちょっとあれだなという話はフォロワー限で公開にしてます!すみません🙏

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    いさな🌱

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    2/12の吾が手に出す【付き合ってる】辻ひゃみ社会人年齢詐称ものの本文サンプルです。

    ※ひゃみさんがボーダーをやめるなど、多くの捏造を含みます

    よろしくお願いいたします!

    #辻ひゃみ
    prostitute
    #サンプル
    sample

    【サンプル】彼女と彼の大団円(辻ひゃみ)遠征や幾度の大規模進行……様々なことが起きたけれど、結果私たちは、鳩原先輩をなんとか無事取り戻した。
    帰ってきた鳩原先輩は、もう戦闘員には戻れるような状態ではなくて。長い長い聴取の上、ようやく解放され、そして記憶を消されてこの組織を去った。
    二宮さんは律儀な人だ。
    鳩原先輩を取り戻すという約束を果たし、組織から待ち侘びられていた役職へと転任し、二宮隊は、そのまま解散となった。
    言葉の足らない二宮さんのことを、私たちは理解している。あの人が、私たち後進のためにポストを空けたことを。現状に停滞するのではなく、羽ばたいて行けと言いたいことを。けれどすぐに切り替えられるわけでもなく、私たちは三人で、暫定犬飼隊となった。二人の息の合った戦い方は、人数不利もものともせず結果を残した。けれど目的を失ったようで、私たちの間に流れる空気は、今までのものとは少し変わっていた。

    私は近界民が憎い。三輪くんみたいに全部殺してやると思うわけではないけれど、世界を簡単にひっくり返してしまう彼らが憎くて、嫌いだ。街を平和に守りたい。そんなありきたりな動機でボーダーで働いてきた。その気持ちに変わりはないけれど、最近はそれにも、少し疲れてきた。別に、私がいなくても世界は回るし、もしかしたら、ここにいる必要はないのかも。そんな風に思ってしまった。
    だから――――。

    「私、ボーダーやめようかな」

    辻くんと二人きりの作戦室で、そうポツリと呟いてみた。三割くらいは本気。でも残り七割は……辻くんに「そんなこと言わないでよ」って、言って欲しかった。「そんなこと言わないで、俺はひゃみさんがいないと困るよ」って、そんな言葉を待っていた。辻くんなら、私がここに居続ける意味を与えてくれるかもと思ったから。だから――だけど。少しの後ろめたさから、顔を上げることが出来ない私に、彼はこう言った。
    「そう……だね」
    長い沈黙の後返ってきたそれは、私が求めていたものとは真逆で、私は思わず目を見開いて顔を上げた。目が合った彼は、今度は代わりに目をふいと逸らす。じっと見つめていると、彼はゆっくりと続ける。
    「ひゃみさんが、そう思ったんなら……それがいいよ。……その方が、絶対……ひゃみさんのためだと思う」
    ゆっくりと、けれど力強く放たれた言葉に、私は何も言えずに口を少し開けた間抜けな顔で彼を見つめていた。辻くんまで、私を『特別』ではなくしてしまうんだ。そう思うと少し寂しくて、こんな試し行為をしてしまった自分の浅はかさを恨んだ。私は、辻くんの中で自分は必要不可欠な存在だと、そうどこかで思い込んでいたのだ。けれど離別をあっさりと受け入れた彼は、私の知らない人のようだった。
    「ねぇ、ひゃみさん……」
    伏せた視線をゆっくりとこちらに向け、一瞥してまた伏せる。その視線が妙に色っぽくて、私は返事もせずにただただ彼を見つめていた。
    「ひゃみさんが……その、ボーダーやめるなら、さ……」
    「あ、うん」
    少し困った顔が、いつもの弟みたいな辻くんに見えて、慌てて返事をする。辻くんは私の返事に安心したのか少し息を吐き、それからまた視線を私に向けた。
    「その…………良かったら、俺と付き合ってくれませんか?」
    「……………………………………えっ?」
    青天の霹靂とはまさにこのことで、私は自分でも呆れるほど滑稽な声を上げた。

    ――それは大学三年生の、夏の話。辻くんと私が、違う特別になった日。



    「え、じゃあ氷見さんは、その時付き合ってる彼氏とずっと続いてるんだ?」
    「うん、まぁ……」
    「えー! すごい!」
    キャッキャと人の恋バナではしゃぐ、いつも絡まないタイプの女子に囲まれ、私は少し困惑をしながら相槌を返す。

    あれからもう五年が経った。私は存外あっさりボーダーを抜け、普通の大学生と変わらない流れで就職活動、内定を得た。今は希望していた外資系企業に就職し、忙しくも充実した日々を過ごしている。
    もう、社会人三年目だ。
    異動で今まで縁のなかった同期と過ごすことになり、その同期の仲良し三人組の会にお呼ばれしているのが、今の状況。
    久々にこの話をしたなと思っていると、目の前のキラキラした女子が「でも」と言ってくる。
    「その彼氏さん、地元なんでしょ? 遠距離って辛くない……?」
    「つら……?」
    思わず復唱しそうになって、飲み込む。特段そんなことを思ったことがなくて、辛いのかな? と考えてみたけれど、彼女が望むような答えは返せそうになく、「別に」と返した。
    「えー、嘘ぉ〜?」
    「むしろ三か……あ、地元にいた時の方が、急な呼び出しとかが多かったし……」
    そう。ボーダー隊員ではなくなって初めて分かったけれど、ボーダー隊員と非ボーダー隊員が付き合うというのは、まず持って時間を合わせることがかなり難しい。任務にランク戦に鍛錬にと、一般市民には手の届かない範囲で様々なことが行われ、いざデートだと気合を入れた日にも、イレギュラーゲートの発生で駆り出されたりもする。そういう時の方が、虚しさは大きい。
    遠距離になってからというもの、辻くんはしっかりと外泊申請を取ってきていて、そうなると不要な呼び出しは発生しないから、土日は二人でのんびり過ごすことが出来る。思えば付き合った当初から、遠距離みたいなものだったのかも。そんな風に思えてきた。
    「呼び出しって、彼氏の仕事なんなの?」
    「えーっと……自衛隊……みたいな?」
    真っ当な質問だが、そうぼかしてみる。彼女たちにボーダーの説明をするのが少々面倒くさかった。都会に出て分かったことだけど、県外を出れば三門市の話題は上がることすらない。それこそ第一次大規模侵攻の悲惨な出来事を、年に一回朝晩のニュースで五分程度流されるくらいだ。きっとここにいる彼女たちには、突然敵がやってきて襲ってくる日常など、想像も出来ないだろう。だから多分、ボーダーの存在や、私や辻くんの想いを理解してもらうことは難しい。
    「自衛隊で呼び出し……? なんだか大変だね……?」
    「うん、そうだね。……まぁだからこっちに来てくれる時はそういうのないようにしてくれてるから、逆にゆっくりできるよ」
    だから、二ヶ月に一度会えるかどうかだけど。と、思い浮かべて飲み込む。少しだけ胸がもやついた感じがして、これが彼女達の言う『寂しい』なのかも、とそんなことを思った。
    「でも遠距離って大変じゃない? 月一くらいは会えてる?」
    「あぁいや……仕事の関係で、そんなには」
    「そうなんだー? ……てか地元なら、氷見さんも帰れば良いのに」
    そう言われて、目を丸くした。確かに、なんで考えてこなかったんだろう。そう思っていると、他の子が「あ!」と声を上げた。
    「じゃあ氷見ちゃんの彼氏って、もしかしてムキムキ!? 意外ー!」
    「いや、ムキムキでは……」
    「写真ないの? 見せて見せてー」
    「あー、写真……」
    この流れは想定内。私は先日辻くんから送られてきた広報用の宣伝資材を彼女たちに見せる。と、わっと彼女たちの顔があからさまに煌めいた。
    「えー!? イケメン!」
    「めっちゃカッコいいじゃん……!」
    「かっこ……?」
    「えー、見たいみたい。わ、美形だ……。てかこの写真何!? モデル!?」
    「いやモデルでは……」
    彼女たちの口から出る褒め言葉に疑問符を浮かべつつ、モデルの誤解を解こうとする。確かに、なんの説明もなしにこんな写真を見せたら誤解させてしまうのかも。見慣れていた自分も、感覚が麻痺してるんだと理解した。「仕事でこういうのもやるんだ」と話せば、「やっぱモデルじゃん!」と彼女たちは目を輝かせる。
    結局噛み砕いてボーダーの説明をして、イメージアップのためにということを理解してもらった。
    「てことは地元だと有名人? 浮気とか心配じゃない?」
    「いや、もっと目立ってる人いるから、全然有名人じゃないよ」
    第一性格を考えれば、浮気の可能性はまずないと思う。辻くんにカッコいいイメージを持っている彼女たちには、辻くんが可哀想なので本当の性格は内緒にしておこう。
    「えー!? これよりもっと目立つ人いるの? 三門すごっ! 検索しよ〜」
    「あっ、私も〜」
    はしゃいでいる二人をよそに、残りの一人が、ポロリと零す。
    「あ、あー……氷見さん三門なんだ。大変だね……」
    そう言った彼女は、少し顔を引き攣らせていた。親戚が近くに住んでいるのだと言い、少し言い淀んで続ける。
    「危ないから、こっちきて正解だよ」
    彼女のその言葉は本心で、けれど何故か、小骨のように私に刺さってしまった。うまく消化しきれない気持ちのまま、私はただ「ありがとう」と愛想笑いを浮かべた。



    「……てことがあって、辻くんかっこいいって。良かったね」
    『あ、ありがとう……?』
    帰宅後、夜勤のない辻くんと、電話で今日のことを話す。こうして予定のない夜は、ダラダラと二人で電話をするのが常だ。私はスピーカーにしながら家事をしつつ電話をして、辻くんも何かをしながら電話する。会話もあれば、ただ生活音を共有しているだけの時もある。遠く離れているけれど、気負わないその距離感が好きだった。
    「もっと嬉しそうにしなよ。『モデルみたい〜!』てモテモテだったんだよ?」
    『かっこいいって言ってもらえるのは……その、嬉しいけど……なんかひゃみさんに良かったねって言われるのは、複雑』
    もごもごとそう言う辻くんに、私は少し笑いながら「ええ?」と返す。
    「……まぁでも、私辻くんのこと、かっこいい枠か? て思ってるとこあるし」
    『ええ? じゃあひゃみさんの中で俺って何?』
    「うーん……どちらかと言えば可愛い枠じゃない?」
    『えー、嬉しくない……』
    電話越しで少し不機嫌に顔を顰めている姿が容易に想像できて、少し笑ってしまう。私は軽く「ごめんごめん」と返した。
    「はいはい、辻くんはかっこいい」
    『言い方……もっと心込めてよ』
    案外文句の多い辻くんの台詞を聞きながら、私は今日言われたことをふと思い出す。
    「あっ」
    『ん?』
    「いや……辻くん、当分こっち来れないんだよね?」
    『あーー……うん。次の外泊予定、来月の二十四日だね……』
    「だよね。……いや、今日同期の子にさ、『氷見さんが帰れば良いじゃん』って言われて。確かに、辻くんに来てもらってばっかりじゃなくて、私がそっち行けば良いんだな〜と思って」
    それを聞いた辻くんは、しばらく黙ったまま返事を寄越さなくなる。通話不良を疑って「辻くん?」と声を掛ければ、『いや、うん……聞こえてる……』とようやく返事をした。
    『帰って来てくれるのは嬉しいけど……土日はシフト入りがちだし、また急に呼び出されるかもしれないし、俺もひゃみさんも実家だし、のんびりしたり出来ないし……』
    嬉しい、の前置きの割に続く否定的な物言いに、私は思わず目を見開きながらそれを聞く。
    『あっ、でも帰ってくるなら、予定どうにかするよ。……どうする? 近々こっちくる?』
    こちらに急に話を振られ、私は「あー」と曖昧に返事をする。
    「……ごめん、そうだよね。辻くんも急に言われたら困るよね。……そういうのもアリだなって思っただけだから、別にすぐにそっちに行くって話でもないよ」
    本当は。来週末にでも帰ろうと思っていたけれど。でも辻くんの口振りを聞いて、なんとなく言い出せなくなってしまう。
    『そう? ……まぁ、来月には会えるから』
    明らかに安堵を含んだ声に、私は思わず固まってしまう。

    私が帰ると何か都合悪いの?

    喉まで出かかった言葉を飲み込んで、「うん」とだけ返した。



    翌日も、翌々日も、辻くんとしたあの会話が忘れられない。普通にその後も会話を続け、今だって簡素な報告のやり取りをしている。
    それなのに。

    『遠距離恋愛 会いたがらない 理由』

    検索窓にそこまで書いて、いやいやと首を横に振った。そしてそのまま文字列を一気に消す。
    こんなことを検索しても、どうせろくな検索結果なんて出てこないのだ。
    そんなことを考えていたら、同期に捕まってランチで洗いざらい吐かされた。
    そして案の定、私が頭に掠めて言葉にしてこなかったそれを、易々と口にした。
    「いやそれ……浮気じゃない?」
    「まぁ……普通それを疑うよね……」
    普通の人なら、この状況を鑑みてそう思うのは自然なことだ。私だって、相手が辻くんじゃなかったら、真っ先にそう思うと思う。でも辻くんは――。
    「信じられないと思うけど、つ……その、付き合ってる人、女子とまともに会話できないんだよね」
    「ええ? あんなイケメンが? そんなことある?」
    彼女は目を丸くしながらそう言った。私は力強く「ある」と断言する。
    「しかも、思ってる百倍くらいテンパる感じだよ」
    「百倍って……そうなるともう女子と会話出来ないじゃん」
    訝しむ彼女に、私はうんと頷く。
    「そう……信じられないんだけど、本当そんな感じで……」
    「えー!? ギャップすご!」
    分かる。すごいよね。理解者ヅラして彼女のリアクションに数度頷くと、「でも」と目の前の彼女は続ける。
    「少なくとも、氷見ちゃんとは喋れるんでしょ?」
    「うん。……その人がまともに喋れる女子は、私……くらいで……」
    本当は、鳩原先輩とも喋れたけれど。鳩原先輩は先の件で記憶を消されたから、実質私だけになってしまった。そんなことを考えていると、彼女は「どれくらいで喋れるようになったの?」と聞いてくる。
    「確か半年から一年……くらいかな?」
    「そっか……」
    そう呟くと、彼女はくるりと回したパスタの絡んだフォークを口に運びパクンと一口で咥える。そして数度咀嚼した後、じっと私を見て口を開いた。
    「社会人になってから遠距離だって話だし……そう思うと丸二年、彼には時間があったわけだ。だから少なくとも、他の子とも話せるようになっててもおかしくないよね……?」
    「…………」
    真っ直ぐに見つめられて、現実を突き付けられる。確かに。頭の中ではそう返事ができたのに、どうしてもそれが出力出来なくて、私も同じようにパスタを口にした。絡まる螺旋を噛み砕いて、ようやく私は彼女に、「そうだね」とだけ言った。

    (以降本編に続く)
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    いさな🌱

    DONE既刊「彼女と彼の大団円」の設定をベースに、告白できなかった場合の軸のお話。冒頭に「彼女と彼の大団円」と同じ展開があります。
    ボーダーを辞めたひゃみさんと忘れられない辻󠄀ちゃんの大人になった頃のお話。

    ※捏造、年齢操作があります。
    ※モブがたくさんしゃべります。(名前ありモブもいます)
    🎪うそつきたちの約束は学校帰り、ボーダーへと向かう道。
    「三十歳になった時にさ……お互い彼氏彼女がいなかったら、結婚しちゃおうか?」
    ひょんな話の流れから、ひゃみさんは俺にそう言った。それに思わず固まる。
    「……お、俺はまぁ分かるけど……ひゃみさんは大丈夫でしょ?」
    真に受けて照れてしまった俺とは対照的に、ひゃみさんはいつもと変わらない顔で「分かんないよ」と言ってくる。照れた自分を恥じて少しムッとした俺に、ひゃみさんは「どうしたの?」と聞いてくるものだから、頬をさすりながら「なんでもない」と答える。少しだけ笑った彼女は、それを深追いすることなく「そう」と返し、前を向いた。
    「……あ、ねぇ辻くん」
    クンクンと、制服の裾を軽く掴まれる。俺は素直に、彼女が指差す方向へと視線を向けた。そこには、店の前に置かれたガチャガチャが数台並んでいる。
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