ひまわり クランクアップです、の掛け声で、共演者やスタッフから拍手が起こる。まだ役が抜けきっていない俺は一瞬何がおきたのかわからず動揺し、理解したのちにお辞儀をした。黄色の花束を渡されて、その珍しい色に驚く。俺のイメージカラーが青だから、普段は青い花束を貰うことが多いのだ。鮮やかな包み紙の中で煌々と咲くひまわりは、夏を凝縮して輝いていた。
「んだソレ」
「今日、クランクアップだったから」
家に花瓶を置くようになったのは、やはり花束を貰うことが多くなったせいだ。細い花瓶、長い花瓶、種類も随分増えた。今手に持っているのは、水色の、側面がぎざぎざしたプラスチックの花瓶。光を反射して、揺れる水がきらきらと美しいデザインだ。これもファンからの贈り物で、もうすっかり我が家に馴染んでいる。花束の包み紙を剥がして、花たちの茎の端を切り落とす。
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