ゆめ それが十分程度の睡眠であろうとも、休める時に小刻みに睡眠をとっているので日中眠くて仕方がないということはない。
そもそも仙人ゆえ、睡眠などあまり取らずとも平気なのだ。
……そのはずではあるのだが、業障の影響か、たまに自分が知らぬ間に落ちている時がある。草むらの上、岩の影、木の下……はっと目を覚ますと、自分の思っている場所ではない所にいることがある。
そう、例えば。
「目が覚めたか……?」
「う……」
薄ら瞼を開けた時、心配そうに揺れる石珀色の瞳に覗かれていることがある。気付いた瞬間に一秒と経たずに起き上がろうとするのだが、こういう時は大抵、逃げられないようにがっしりと抱き留められている事が多い。
「し、鍾離様……」
2314