私の色を君に 乱凪砂 不意に彼の顔が近づいた。首の後ろに手を回していつものようにキスをされるのかなって思い静かに瞼を閉じた。
「……うん、似合うね」
「え……?」
彼が私の胸元を嬉々と眺めているから視線を下げて胸元を見ると、小さな宝石がネックレスがあった。
「これ…」
「……琥珀だよ。琥珀はね、癒しの力があるんだ、落ち込んだ時にもこれがあれば癒してくれる。それとーー」
「凪砂くんの瞳と同じ色……」
「ふふ、これでいつでも君と一緒」
「嬉しい、ありがとう」
ネックレスを貰えた喜びと、キスだと思って期待していた残念な気持ちとが混ざり、少し複雑ではある。しかし、彼の瞳の色の宝石が私の胸元でキラキラと輝いていて感動する。
しかし、勝手に期待してキスじゃなかったことが恥ずかしい。はにかんでいると、彼はしばらくの間考えいた。
「……ああ、そういうこと」
嬉しそうに微笑みながら私の頬を包み込んで、目を伏せた彼は今度こそ唇を近づけた。
待たせてごめんねと言わんばかりにキスが何度も何度も降ってきて、何も考えられなくなる。キスが終わるとぎゅっと抱きしめられた。
「……期待、したんだね。かわいい」
恥ずかしくて耳元で囁く彼の顔が見れない。顔が真っ赤になるのを感じた私は、悟られないように彼の胸板に顔を押し付けた。彼のふふっという笑い声を聞きながら。