ピロートーク「なぁ、パーシヴァル」
「なんだ、ランスロット」
パーシヴァルがその濡れたような黒髪に手を伸ばすと、ランスロットはくすぐったそうに少し身を捩った。
「最近のフェードラッヘの情勢についてなんだが…」
「…………」
またか、とパーシヴァルは頭を抱えそうになる。
先程まで甘く溶けていたランスロットの瞳が怜悧な光を取り戻し、熱い吐息を漏らしていた小さな唇が自身が騎士団長を務める国の情勢の憂いを紡いだからだ。
黒竜騎士団時代から分かっていたことだが基本的にこいつの頭の中は、国、仕事、鍛錬のどれかに支配されているのだ。
それは情事の後も例外ではない。
無欲無私に仕事に打ち込む姿は騎士団長の身分に相応しく、どんな時も国のことを思うその忠誠心は気高く美しい。
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