書き下ろし進捗まだちあ編
ばちぃんっ!
教室内に響いたその音。割と近くで聞こえたのに遠くで聞こえたようだった。遅れてやってくるヒリヒリとした痛みに、俺は漸く、自分が叩かれたことに気付く。俺の腕を抱える敬人さんでも宗さんでもない。目の前にいる、叩いた人物に視線を向けた。肩を上下に揺らして息をし、綺麗な透き通った水色の瞳で俺を睨み上げてくる。
「ぃ、ずみ、さん……?」
「……ッとにっ。今更喰らいつきに行こうとするんじゃないよぉ、このバカ!」
ぶんっと俺を叩いた手を後方へと向けながら声を荒らげる泉さん。珍しい、とても。いや、気に入らないことがあればイライラとし、後輩いびりをしてストレス発散しているのは知っていたがここまで声を荒らげるようなタイプではない。だから、俺は思わず間抜けな声を出してしまった。
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