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    katakuriko894

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    katakuriko894

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    軍事政権に独裁された壹岐島(南半球)のパロ
    ファークライ6がやりたすぎて………

    壹岐が現代で軍事政権に独裁されてたらパロタクシーを降りると、空港に着いて以来の南半球特有の蒸し暑さが全身を包み込んだ。湿った土や路傍に立ち並ぶアブラヤシの葉、けたたましい音を鳴らすディーゼルエンジンが吐き出す煙の匂いが、否応なく苦い思い出を蘇らせる。
    大使館職員だった父が不慮の事故で死んで以来、十数年間、決して踏む事は無かった地だ。
    ジーンズのポケットからスマートフォンを出す。
    数年ぶりに来た、伯父からのメール。

    ーー中々連絡が出来ずにすまない。今、私はお前が幼い頃、お前の父が住んでいた国にいる。
    ーー国防軍とささやかな誤解があった。だがそのせいで私は身動きが出来ずにいる。
    ーー大丈夫だ。必ず帰る。だから決して来てはならない。わかったな。

    それを見て、言い表せない不安が胸の中に広がった。
    医師である伯父は、決して軍に拘束される人間では無い。どんな病人に対しても尽力する高潔な人間だ。
    だが、アンクサー・ハトゥンが大統領になってからは軍事政権がこの島を独裁し、支配している。治安維持の名の下、市民を投獄した末に殺害する事も起きていて、住むのも危険な場所であった。
    それを知り、幼馴染や周囲が止めるのも聞かず、最低限の荷物と共に日本を飛び出した。
    イキは海沿いの大きな街だが、かつて住んでいた時はこんなに兵士はいなかった。
    ひしめくように並んでいた露店は姿を消し、代わりに物々しく武装した兵士達が検問所で目を光らせている。
    とりあえず、ビーチへ足を向けようとした時だ。

    『旅行者か? 身分証を見せろ』

    兵士の一人が此方に気付き、訛りの強い英語で話しかけて来た。高圧的な態度に、素直に従った方が得策だと感じて、パスポートを渡す。
    兵士はパスポートをいくらか捲ると、顔写真のページで指を止めた。
    赤道に近い太陽が容赦なく照り付けるが、今吹き出しているのは冷や汗かも知れない。

    『ジン・サカイか?』
    「はい、そうです」
    『お前を拘束する! 手を頭の後ろに付け!』

    兵士はライフルを突きつけ、容赦なくジープのボンネットに仁を突き飛ばした。恐ろしさに、そのままボンネットの上で両手を上げる。火にかけたフライパンのような熱さが腹と頬をじりじりと焼く。
    兵士が腕を捻り上げ手錠をかけようとした時だった。
    鋭い口笛が通りに響く。
    何かの唸り声が聞こえて、背中の重みが消えた。
    代わりに凄まじい絶叫。
    恐る恐る振り向けば、赤いシャツを着た巨大なワニが、兵士の脚を噛み砕き、引き千切っていた。
    もがく兵士の身体を巨大な顎がズタズタに引き裂き噛み砕いて、赤い血が、肉片が飛び散る。
    あまりの光景に呆然と突っ立っていると、ビーチ入り口のビアスタンドから男がビール片手に近づいて来て、もう片手をゆっくりと悲鳴を上げる兵士に向けた。
    歳の頃は、伯父より少し歳下だろうか。細身だが引き締まった身体を派手なアロハシャツとハーフパンツで包み、白髪混じりの髪を頭の後ろで括って、腕や胸に刻まれたタトゥーを隠しもしないその姿は、どう見ても堅気の人間には見えなかった。
    その手には大きめの銃。陽光を浴び、硬質な光を放っていた。
    ぼしゅ、と空気が抜けたような音をいくつか立てると、兵士はだらりと動かなくなった。
    まるで、灼熱の太陽が見せる真夏の悪夢のように現実味が無い。

    「いやー、悪い悪い。遅くなっちまった。おい陸、そんなもん食うと腹壊すぜ」

    男は銃を仕舞うと、目の前に死体なんか無いみたいに話しかけて来た。
    驚いた事に、恐ろしい牙を剥き出して兵士をズタズタにしたワニは大人しく牙を収めると従順な犬のように男に擦り寄って行くでは無いか。

    「り、陸?」
    「コイツの名前だ。安心しろよ。国防軍の兵士共しか襲わないし、人間より牛肉とビールが好きだ。ほら、ご褒美だぞ」

    男が手にしたビール瓶を逆さにする。陸と呼ばれたワニががばりと口を開けて流れるビールを飲み干していた。

    「貴方は……」
    「伯父さんから聞いてねえのか? まあいいや。俺はテンゾウ。あんたの親父さんや伯父さんには少なからず恩義があってね」
    「伯父を知ってるんですか!? 一体何が…」

    矢継ぎ早に問おうとしたが、テンゾウは人差し指を口元にやると、シィ、と息をひそめた。
    往来で言うなと言う事らしい。

    「とりあえず此処にいたらまずい。移動する。あの車に乗りな」

    側に停めてあった黄色いセダンに乗り込むと、仁は運転席で煙草をふかし始めた男を見た。

    「どこへ?」
    「革命軍のアジト。俺は革命軍のゲリラだ。あんたの親父さんと伯父さんはずっと俺たちの支援をしてた」
    「え……」
    「ようこそ革命軍へ。歓迎するぜ、サカイジン君」

    男はにっと笑うと、アクセルを踏み込んだ。
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