「無敵というのは敵を倒すことじゃない。
敵と友達になるということらしい。
君のような男を言うんだろうな、タケミチ君」
すっかり足の遠のいた佐野家には、おじいさん一人が暮らしていた。
決戦前夜、武道はドラケンの墓前に手を合わせるべく場所を聞いた。が、天涯孤独の彼に墓はなく、エマと想いあっていたことから佐野家の墓に入ったのだという。
佐野家の墓の場所は知っている。だが仏前に手を合わせるのが筋だろうと、佐野家に足を運んだ。
広い家におじいさんは一人きり。聞けば道場は畳んだらしい。
次々に子供が亡くなり、その理由が不良のいざこざとなれば好んで子供を通わせたがらないだろう。
小柄ではあるが覇気のようなものがあった老人は、すっかり小さくなってしまったように感じた。
1578