風邪盤が広まった理由「思追、景儀、良いものやるよ」
満面の笑みだ。頭をゆらゆらと小さく左右に振って近づいてくる。なんとも怪しい。
藍景儀は警戒しつつも(魏無羨がイタズラ好きなのは姑蘇藍氏では有名だった)手の平を差し出す。何かを握っているであろうその拳にミミズが入っていたとしても、もう藍景儀と藍思追は驚かない。何があっても動じないつもりだった。
魏無羨がソレを手のひらに置いた瞬間、藍景儀は目を見開いた。
知っている形だが、一部分違うところがある。
「これ…!」
「風邪盤を改良した。今お前らが使ってるのよりは正確に動くはずだ」
夜狩について学ばされることは多く、剣だけでなく術をも自由自在に使いこなす彼は尊重すべき相手だと頭ではわかっていても、含光君の袖にもぐりこんだり含光君に金をたかったりと、なんとも情けないところをここ最近よく見ていた藍景儀の魏無羨に対する尊敬度は地につくほどに下がりつつあった。
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