本気①東京都立呪術高等専門学校四年・五条悟が、担任の夜蛾正道に連れてこられたのは、一面に護符が貼られた小さな部屋だった。
部屋の真ん中には、薄茶色の髪の少年が注連縄で椅子に拘束され、気絶をしている。
「あれが特級呪物・両面宿儺の器、虎杖悠仁だ」
ふーん、と興味のなさそうに五条は返事をするが夜蛾は話を続ける。
「彼は、これからここに編入する事になる。そうしたら、悟。お前が彼を導いてやるんだ」
五条は耳の穴から指を抜き、気だるく答えた。
「導くって、要は監視だろ。俺に、拒否権無いだろ。だりぃー」
特級呪物・両面宿儺は呪いの王として呪術界に知らぬ者はいない。そんな強力な呪いと対峙できるのは、現在の呪術界では五条悟しかいないのである。五条もそれを理解していた。
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