無表情で少しだけ強引な綾波レイ③シンジとレイが同棲を始めて1ヶ月と少し経ったぐらいの時のお話。
「碇君、もう夜遅いわ」
ソファでタブレットを使い本を読むシンジにレイが声を掛けた。
「ああ。綾波、先に寝ちゃう?」
「そうじゃない」
「えっ」
一瞬の沈黙。
シンジが顔を上げると、レイの紅い瞳と目が合った。
「そうじゃない」
無表情なまま、同じ言葉を繰り返すレイに対し、返す言葉を失い頭をフル回転させるシンジ。
一緒にベッドへ行く選択肢もすぐに頭に浮かんだが、手元のタブレットに映る資料は次の仕事に関するものなので、今日きちんと読んでおきたい。
「・・・これ・・・もう少し・・・読んでおきたいんだけど」
「そう」
言うなりレイはシンジの隣に腰掛けて身体を倒し、シンジの膝に頭を置いて丸まってしまった。
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