食べ過ぎ注意!体育教師を勤める義勇の仕事量は計り知れない。午前中は部活の指導、勤務は半日でも書類整理が残っているらしい。昼食の最中、折角の休みなのにデートにも連れ出してやれないと彼は申し訳なさそうに話をしていた。炭治郎が気にしないでと抱き締め見送ってから3時間が経過している。作業部屋に籠りきりの義勇を気遣い、炭治郎はある作業に取りかかった。
「……クッキー?」
「おわぁっ!」
オーブンレンジから天板を取り出す最中、すぐ耳元で囁き声。さらさらの黒髪が頬を掠めて、美しいテノールの持ち主を睨み付けた。
「もーっ義勇さん!キッチンは危険がいっぱいだからっていつも……っ」
「分かってる、悪かったよ」
「……終わったの?」
「ん。一区切りついた」
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