紫紺、あるいはディープスカイ集会所を入って奥、滝と川を望む淺敷にアヤメは今日も佇んでいる。
「おはようございます。アヤメさん」
狩人の乙女は持参してきた小さな道具入れの中身を、アヤメに声をかけながら木目の卓に広げ始める。
「ああ、おはよう。ええと、ウツシ教官は朝から出払ってるみたいよ」
「いえいえ、今日は教官ではなくアヤメさんとお話しに来たんですよ。さぁさぁお掛けになってくださいな」
何か相談事なのかしら、と珍しくはない様子でアヤメは乙女の向かいに座った。
「アヤメさん、この爪を見てください」
乙女は卓の上に手をかざす。光の当てようによっては深い紫が浮かび上がるカムラの里特有の紺色に染まった爪が並んでいる。
「教官が一昨日ここで塗ってくれたんでしょう?欠けちゃったの?塗り足しを手伝えばいいのね」
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