ぐちゃぐちゃの描き殴りはやはちこんな感情、持つはずもなかった。というかきっと一生持てないものなんだと諦めに近かった。
君は知り合った時から全く笑顔を見せたことがない。あっちは知り合いにも入れて欲しくなさそうなことをよく言うが、それでも俺は君を友達以上に考えてしまう。君の笑顔を見たのは本当に遠くからだった。
君は友達と思ってもいないだろうが、それでも信じる人達に対して無意識に笑顔になる。だから遠くからそれを見た時、俺はなんとも言えない気持ちになって、心底落ち込んだ。君にそんな表情ができるなんて、君を友達以上として見てしまうようになったのはそう思ってからだった。
君があの校舎の裏庭で1人でご飯を食べていることを俺は知ってるから、たまにそこにある自販機に寄る。君は後ろに誰かいるのに気付いてるのかそれともいつもそうなのか知らないけど、階段の端で縮こまって菓子パンを食べていた。
正直、君のとなりに座ってその頬張っているパンを取り上げて俺が全て食べてしまったら、きっと君は俺との距離をもっと開けたがるだろうなと、笑いそうになる。それはいい。君の嫌がる顔が本当に好きだ。でも君の笑顔も、みたい。彼等に無意識に向けてしまうような顔を俺は隣で見ていたいと思ってしまうんだ。