ボンヌ・ニュイ「どうしよう、セバ。大変なことになっちまった!!!!」
それは、溶接している最中だった。突然、大きな声が耳元で響くのに、自然と溶接機を止めて、保護メガネを上げる。ついで、横を向いたら、見慣れた顔がそこにはあった。
エスパー野郎だ。奴がこちらをじっと見ながら、薄く口を開けて眉を下げている。
夜遅くの工房。今は、俺以外誰もいない。新武器作りに没頭すると、時間を忘れてしまうから、こんなことはザラにあるわけだが。ふと、壁にかかっている時計に目を移す。
11:15を指しており、あー、もうそんな時間か。と、再びエスパー野郎の方に視線を移した。
「……ん?お前、なんか」
相変わらずほっせー体付きをしているが、いつもよりなんていうか、更に華奢というか、丸っこい?というか。いや、一番の違和感は。
「背が縮んだ?」
そう、多分、それだ。確認のために、椅子から立ち上がってみる。俺よりちょっと低めの身長ではある筈なのだが、今は俺の胸くらいの位置で止まっていて。おもわず、頭を掻いて、どういった状況なのかと懸命に考えようとした。しかし、それよりも前にエスパー野郎が口を開き、言葉を吐き出したのだ。
「俺、女の子になっちゃった!」
「………………は?」
かなり間が空いた後、唖然としながら返してみる。すると、奴が俺の唖然をすぐに汲み取ったのか、(というよりエスパーが使えるからピーンッて、きたんだろうな)再度「だから、俺、女の子になっちゃったんだって!」と震える声で言ってきた。そのまま、百聞は一見にしかず、と、言ったところか。
唐突に、俺の腕を引っ張ってきたと思えば、奴の胸にあててくる。瞬間、ふにんっという感触が俺の手のひらに伝わってきた。
「………………は、あ?」
再度間を開けて、声を絞り出したものの、若干それが上擦ってしまったのは否めない。
しょうがねーだろ、昨日までなかった感触に今更動揺を隠すことなんて出来るわけねーし!と、心の中で叫んでいたら。すんっと鼻を啜る音が聞こえて、俺は背が縮んでしまった奴の頭を見遣る。シンは僅かに顔を上げて俺を注視していた。その目尻が若干赤くなっているのに気づいて、心臓がドキッと音を立てる。
「さっきまでさ、寝てたんだけど。なんかむずむずすると思って起きたら、胸があって……。女になってた」
いや、マジで理解ができねー。
どうゆうことだ。
そんなパラレルワールドみたいなことがあるのか。
とはいえ、この手の感触はマジもんだ。そう思いながら、なんとなく、手に力をこめてみる。やはり、昨日とは違う柔らかさが掌を伝わって。おもわずごくっと唾を飲み込む。
「んんっ」
すると、小さく下で喘ぐエスパー野郎。それに、短い息が漏れた。これ、結構やべー。
「あ、っ…せ、ばぁ」
上目で見てくるシンに、確かに情欲を燻られながら、また、柔く膨らんだ胸を揉んでみる。
「あ、んっ」
おそらく、女っていうのはブラジャーとかして胸の形をうまく保ち、尚且つ直接的に乳首に触れないようにしているのだろうが、シンは今ブラジャーの類をしていない。服一枚、そのすぐ下は胸だからか、ツンっと勃った乳首が直接掌にあたってくる。瞬間、この下は一体どうなっているのだろうか?と、好奇心なるものが沸々と沸き立ってきて、気づけば、シンの薄いシャツを上まで捲りあげていた。ぷるっと、普段ない筈のものが現れる。膨らみと共に、ピンクの乳首。マジで女の胸だ。そっとそこに触れてみると、奴がまた甘い声をあげた。
「あ、ああ、だ、め」
今まで女の胸は触ったことがない。
付き合ったのが、こいつが初めてだし、何なら俺の童貞はこいつで卒業している。だから、どうやって胸を弄ればいいのかは分からないのだけれど。でも、なんていうか、男の本能ってやつで、とりあえず柔く揉んでみた。と、同時に、ピンク色の乳首を指でクリクリと捏ねてみる。
「んんっ、せ、せばぁ」
シンの体がビクビクと跳ねて、まるで縋るように俺の腕を掴んできた。うっすらと膜の張った両目が俺を捉えてくるのに、心臓の鼓動が強まっていく。
たまらねえ。というのと、そこを吸いたい衝動にも駆られて、胸から手を離す。そのまま、その場に膝をつけば、ちょうどピンク色の乳首が眼前に飛び込んでくる。そして、俺は躊躇なく口を開けて、しゃぶりつくように乳首を咥えた。
「え、あっ、ま、っ…!せば?!」
驚いたような言葉を投げかけられた後、シンの手が俺の頭を押さえてくるがそれを無視して、乳首に唾液を纏わせ、わざとらしくジュルっと吸ってみる。
「あひっ!……ん、や、だ」
シンが俺の頭を抱えてきたと思えば、グッと押し付けてくるから、好都合とばかりに、片方の胸を揉んだり、乳首を弄ったりして、もう片方の胸は、舌で押し潰したり、歯で甘噛みしたりした。
「あ、ああっ…せ、セバっ…!ん、うっ、む、むり」
普段よりも高く甘い声が耳を擽ってくる。ふと上目で奴の顔を窺えば、影を落としたまま瞼をぎゅっと閉じ、眉を顰めて、快に耐えているようだった。それに、おもわずゴクリと唾を飲み込む。ちゅぽっと音を立てて乳首から口を離すが、胸を揉む手は抑止できない。
「あ、はっ…やっば。びしょ、びしょなんだけど」
すると、シンがそう口にしてくる。
「……びしょびしょ?」
何が?と思って、上目で伺ってみたら。
「ん、ここ」
シンが胸を揉んでいる俺の片手を取ると、躊躇なく短パンの下に潜らせてくる。指で触れたそこは、ちんこではなく、確かに女性器のそれだ。しっとりと濡れており、指に液体が絡んでくる。瞬間、心臓が、どっ、どっ、どっ、と強く打ち付けるのに、俺は、短い息を漏らした。
マジか、ここも、女のものだなんて。もうこれ以上はダメだろ、と、思うのに、男の性ってやつなのか、指でスルッと割れ目の部分を擦ってしまう。
「あ、んっ…」
シンが俺の肩に手を置いて、シャツをグッと握ってくる。もう片方の手で口元を押さえ、チラッと視線を投げてきた。その瞳は情欲に濡れており、俺の下半身を刺激してくる。
「シンっ!」
衝動的にやつをその場に押し倒し、短パンを一気に脱がした。
「あ!せ、セバ!だめ!」
シンが俺の腕を掴み、懸命に片手で股の部分を隠そうとしている。元々、エスパー野郎の下生えは薄い方だと思う。というか、奴もそれを気にしていた。それでも、男の時のこいつの下生えは、あるにはあったわけだが。どうゆうことか、今のシンの股には隙間から見る限り、毛という文字が一切ない。つまり、ツルツルなのだ。剃ったのか?と、一瞬思案したが、そんなことできるほどこいつは器用じゃなかった、と、思い直す。となると、女になった時から下生えがないということになる。
んだよ、それ。どこのAVの世界だよ。
「見せろよ」
唸るように言ったら、シンは首を横に何度も振った。
「恥ずいから無理!」
「見せろって!」
無理矢理はあんま好きじゃねーけど、おもわず隠している手の方を取って、上へと縫い付けてしまう。やはり、下生えは生えておらず、ツルツルだ。だからか、割れ目が生々しく俺の視界に映って、たまらなくなる。
「セバのばか!みるな!変態!」
奴が悪態を吐いてくるが、もうそんなのはどうだっていい。そのまま、手を股に持っていき、割れ目をそっと開いた。
「んひっ…」
そして、濡れているだろうその部に指を這わせる。くちっという音がその場に響き、更に俺の下半身を刺激してきた。正直、ちんこは勃起しすぎていて痛い。はあ、と深く息を吐いた後、指を濡らすその液を掬い取って、優しく突起部分に擦り付ける。
「ああっ…、んう、はあ…せ、セバ、それっ」
身を捩りながらも、エスパー野郎は、確かに快を覚えている。その証拠に奴は俺の下で恍惚とした表情を浮かべており、突起をいじる指には温かい液体が降りかかってくるのだから。文字通り、指はびしょびしょに濡れて、これならおそらく俺の指入るんじゃねーのか、と思って、愛液が漏れている場所に指を滑らせた。
「んんっ…あ、あ…、ま、まって」
ぐぷっと指を一本挿入してみる。難なくエスパー野郎の内部は俺の指を飲み込み、奥まで、と、蠕動してくるのに、頭の中がカッと熱くなるような気がした。ついで、二本目の指も挿入してみる。やはり、難なく飲み込んでいくそこ。いつもなら、ローションを使ってしっかりとほぐさなければいけないが、これならすぐにでも俺の性器を受け入れることが出来るだろう。それでも、念には念を、と、思って、二本の指で内部をぐるりと優しく掻き混ぜ、ぬぷ、ぬぷと出し入れし始める。
「あ、あっ…や、やだ…んん、あ」
内壁を擦られるのが気持ちいいのか、シンの体が何度もびくびくと波打つのに、俺は熱い息を漏らした。もう片方の手で胸を揉みつつ、乳首を指で弄る。自分の性器からは先走りがダラダラと流れて、下着の中をどんどん濡らしていくのに、不快感を覚えた。
「ん、あっ…は、あん、せ、ば…ん、ん」
エスパー野郎が俺の腕を掴んでくるが、その手には力がこもっていない。もはや、ただ触れているのと同様だ。だんだんと白い胸や、股らへんがピンク色に変わっていくのを目の当たりにして、口の中が乾いていくのを自覚する。内部を擦るたびに、ぐちゅ、じゅちゅ、という卑猥な音と共に、愛液がどんどん溢れて、俺の手の甲まで濡らしていく。加えて、ムワッと愛液の匂いが鼻腔を突いてくるのに、五感から情欲に犯されているような気がして、どうにかなりそうだった。
やべー、マジでちんこ爆発する。ふと、奴の顔へと視線を向けた。シンは、とろんとした表情で俺を注視していて。と、同時に、その薄く開いた口がゆっくりと動いたと思えば。
「なつ、きぃ」
か細い声が俺の鼓膜を震わせてきた。
“な つ き”
いつもの呼び名じゃないそれを口にしたシンに目の前がくらっとする。限界だ、と、思った。指を内部から引き抜き、俺はズボンのジッパーを下ろす。そのまま、下着ごと下げて、痛いほどに勃起し、先走りをダラダラと流した性器を取り出すと、シンの足を広げる。そして、先っぽをびっしょりと濡れたそこに押し付けた。くちっと粘着質な音が耳をくすぐってくる。
「ま、待て!ご、ゴム!子供出来ちまうだろ!?」
瞬間、エスパー野郎が焦ったようにそんなことを言ってきた。でも、俺にとってはもうそんなのどうだっていい。というか、今ゴムは持ってないし、加えて、わざわざ部屋に取りに行くなんていう選択肢もなかった。
「別に、いい」
俺たちの子供なんて想像も出来ないけれど。ガキができたらできたで頑張って働いて金稼ぐから。ちゃんと可愛がるし。そう思いながら、シンの手をとってその指先にキスをした。
「俺たちの子供楽しみだな」
「え、いや、だ、め、」
そのまま指に指を絡めてまた上に縫いとめると、腰を押しつけ、ググッと皮膚を掻き分けて内部に挿入する。
「ひんっ……!あああっんん」
ぐぷぷっと奥まで一気に貫けば、エスパー野郎の喉が上に向き、体がびくびくっと波打った。それが、マジで、エロすぎてすぐに射精しそうになったが、懸命に腹筋へと力を入れてどうにか抑止する。そして、背を折り曲げて、もう片方の手をシンの腰に添えると、内部を蹂躙し始めた。
「あひっ、あ、ああっ…ん、ん」
喘ぎ声と共に、結合部からは、愛液が混じって、ぐぷっ、ぐぽ、というなんとも比喩し難い音が耳を燻ってくる。内部の締め付けがいつもより柔いような気がして。女とやるとこんな感じなんだ、と感心してしまう。ふと、結合部を見れば、びっしょりと自分の陰毛までもが濡れていた。
「えっろ」
おもわず、声に出しながら。ばちゅんばちゅんと内部を抉った。
「あ、あっ…ん、んっ…ら、め、あああっ」
シンが絡めている俺の手をぎゅっと握ってきたと思えば、ビクンッと体が強く跳ねる。瞬間、きゅうきゅうっと俺の性器を締め付ける内部。それに、眉を顰めた。
「は、あ…。やば」
深く息を吐いて、ばちゅんと、強く腰を打ち付けた後、どっぷりと精液を吐き出す。何度かに分けて、精液を全部シンの中に吐き出し、そのまま、シンの上に覆いかぶさった。
「……セバ、やっぱ女の俺の方がいい?」
ふと、俺の髪に触れながら、シンがそう言うのに、首を小さく横に振る。俺は、お前が女だろうが男だろうが関係ない。朝倉シンを、お前自身を、好きになったんだから。でも、それは口にせず、ただ「名前で呼べよ」と返して、そっと目を開けた───すると、見慣れた天井のシミが目につく。
「………は?」
おかしい。さっきまで工房にいたはずなのだが、ここは工房ではない。状況が全く理解出来ず、顔を横に向けてみる。いつもと変わらない壁が視界に入ってきた。いや、てか、ここ、俺の部屋じゃん。ついでに言うと、ベッドの上じゃん。ゆっくり、体を起こしてみれば。
「……あ」
同時に気づいてしまった下半身の違和感。そっとズボンと下着を開けて、俺はガックリとしてしまった。
「いやマジかよ」
そこは、ぬちゃっと白濁の液で濡れている。おもわず、片手で頭をくしゃっと掴みながら、深いため息を吐いた。いわゆる、これって夢精というものだ。まさか、初めての夢精をこの年で経験するとは思わなかった。しかも、内容が内容だし。とにかく、濡れた下着が気持ち悪い。パンツを洗わないと、と、ベッドから起き上がり、風呂場に直行したのである。
その後、シンに苦言を漏らして、笑われるのはまた別の話だ。
END