天井裏より愛を込めて 四月一日、ついに帰る場所がなくなった。
多少の所持金と残高もカードもあるが出来るだけ温存したい。
身内はいるが年内の式を前提に同棲しているので、そこへ間借りする訳にもいかない。有り難い事に義弟になる男も学生時代から慕ってくれているので、そのまま同居の形で居座っても妹も安心するだろう。しかし兄の見栄がある。見栄を張って早々に家を出たが、良い歳して実家ではなく妹夫婦の新居に転がり込むなんて、例え太陽が西から昇ってもあってはならない。
その太陽が昨日と変わらず西へと沈もうとしている。昨日アパートの契約が切れた自分は今夜からの寝床を決めかねていた。いつもより早く桜の舞う季節が来たとはいえ、星が輝く頃になると芯まで冷える。
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