さよならを超えたその先の 視界に広がるのは茶色がかった金色。少し乾燥した、背中まで伸びた髪。頬に当たるはねた髪がくすぐったい。首に回した腕が解けそうになり、慌てて手を組みなおした。
ちゃんとつかまって、とたしなめる声が飛ぶ。
「ほら、もう泣かないでよ。もう足痛くないでしょ?」
「痛くない…」
言い聞かせるように声をかけてくる少女にそう返す。
……嘘だ。本当は結構痛い。
首筋はしっとりと汗ばんでいた。ルークをおぶった小さな体は、一歩一歩踏みしめる様に前に進んでいく。
「ヒーロー、大丈夫…?重くない?」
「ルーク一人くらい背負えるって!それより博士への言い訳考えてよ。……木に登って落ちたって正直に言ったら……怒られるよね」
「まず研究所の外に行ったのがバレると思う……」
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