UNTITLEDープロローグー
_どうしたって、神様は不公平で残酷だ。
火の玉と氷の牙が飛び交い、波打つ濁流が押し寄せてきては反射の魔法で跳ね返す。
「ツカサくん…」
そろそろ魔力が尽きそうだと杖を持つ手が震え始めた。それでも彼は、あるモノを護るように立ちはだかり杖を振る。
「また、同じことの繰り返しだ…」
目から赤い液体が零れ始めると彼はそれを合図だとばかりに魔法陣を展開した。
ありったけの魔力を注ぐと黒い光の筋が立ち上がり、その中から大きな影が現れる。うねうねと生きているように動くそれは彼が想像する"悪魔"の形を作り上げた。
「強欲なアルケミストよ…次は何を願う?」
「僕は…」
…
誰かのすすり泣く声が聞こえる。
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