影の重なり (かわいい…僕の雅が、こんなに、こんなに、こんなにもかわいいッッッ……‼︎)
なんて悶え、にやけ、幸せに満ち溢れた表情を晋作が浮かべていることは隣の雅子以外、全員気づいていた。雅子はエリアごとに交わす祭り会場の様子に瞳をきらきらと輝かせ、そんな雅子に見惚れてばかりいる晋作。そして雅子に声をかけられた時は平然と装う。なんとも男とは見栄っ張りな生き物だと多くの女性サーヴァントたちは晋作の分かりやすさに大きくため息を吐いた。そして牽制するようにきつく、固く、手を握り合っていた。
「あら?」
と、空に大輪の花々が咲き乱れる。
「花火…」
「そろそろ祭りも終わりってことだな、残念なことだけど」
「ええ、本当…」
それでも綺麗だと言って雅子の視線は今度は花火へと移る。そんな雅子の手を取ると人気の少ない林の方へと連れてくる晋作。
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